三菱重工(株)は、長崎造船所香焼工場の新造船エリアの大島造船所への譲渡について、3月30日に売却する契約を締結したと発表した。この香焼工場の譲渡は、2019年末から交渉が進められて来たが、コロナ禍の影響もあり、段階的に譲渡され、2022年度内に完了予定と報じられている。先週、所用のため三菱G労連長崎地区本部香焼部組合事務所を訪問の際、小組・大組立工場の建屋、控所・事務所、駐車場などを拝見すると通勤車両も大幅に減少、人の動きもなくなっていた。現在、三菱重工社の関連会社として三菱重工海洋鉄構㈱として事業を継続しているものの、新造船の受注環境の悪化、仕事量の減少などに伴う事業整理・人員対策等は、“雇用を守る”観点から止むを得ないと思うが、ふるさと(出身地)が消えるがごとき、寂しさ・むなしいものがある。
昭和47年(1972年)入所以来、香焼工場で船造りに励む中で、オイルショック、造船不況、の時には重工社内・関連会社への転任、所内再配置、休職・応援派遣など人員対策を行ないながら、幾多の困難な時代を乗り越えて来たものの、新造船部門の撤退は非常に残念である。世界最大の建造ドックを持つ香焼工場が昭和47年10月に完成し、同10月から香焼工場勤務となり、平成31年3月末で退職を迎えた。その間、労働組合の職場委員として6年間、組合専従者として7年間、香焼部組合事務所にもお世話になった。段階的譲渡を前に、生産を終了したステージでは不要となった設備・備品等の撤去、事務所の机・イス類の廃却処分など、香焼部組合事務所でも移転の準備整理が行われていた。寂しさはあるが、造船技術の継承、地域経済の活性化、雇用確保など大島造船所の事業に期待する。