九州新幹線西九州ルート整備推進協議会(森拓二郎会長)は、12月16日ホテルニュー長崎において長崎、佐賀両県から関係者約1,000人が出席し「九州新幹線西九州ルート整備促進シンポジウム2024」を開いた。主催者挨拶では「全線フル規格化は目途が立っていないが、北部九州県の活性化に繋げるべき。新幹線メリットを発信しよう」、来賓挨拶では「佐賀、福岡を含め西九州地域全体で効果を享受できる必要不可欠もの」と挨拶があった。松下琢磨氏(JR九州常務)は西九州新幹線の現状報告の中で、西九州新幹線長崎ルートが開業して利用者数は2年で約500万人となり増加傾向にある。新幹線定期券も含め利用は伸びる見込みだが、対面乗換えに「面倒」「くつろげない」「荷物を抱えると大変」と不満が寄せられている。全国の新幹線ネットワークとつながることが、交流人口の拡大に寄与し、西九州のみならず九州そして日本の浮揚につながると報告があった。
基調講演で、波床正敏氏(大阪産業大学工学部都市創造工学科教授)は、1日13万人が利用する新大阪駅で常時、地名が案内表示・放送されればPR効果が抜群だが、直通運転がない佐賀と長崎は存在感がないと指摘があった。国土幹線と新幹線で結ばれるということ、西九州新幹線の展望では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料を基に、乗り換え1回につき「所要時間が27分伸び、92㌔遠回りするのに相当する心理的抵抗を乗客に与える」との説明があった。乗り換えを解消しフル規格で山陽新幹線に直結すれば、佐賀県にとっても「佐賀市から大阪まで2時間台。リニア中央新幹線も使えば東京に4時間以内で行けるようになる。高度な産業立地の可能性がある」との見解が示された。その後、「関西直通運行が西九州地域にもたらすもの」のテーマで、パネルディスカッションが行われた。