国土交通省「都市景観の日」実行委員会は6月10日、良好な景観の形成に資する普及啓発活動の一環として、景観が優れた地区・活動などを表彰する「都市景観大賞」で、都市空間部門の大賞に長崎市の出島地区(1.5㌶)が選ばれたと発表した。出島地区は、鎖国時代に日本で唯一西洋に開かれ貿易の窓口であった歴史的な場所でありながら、近代以降の土地利用の進展等により往時の景観が失われていた。長崎市は、1951年から史跡地内の公有地化を進め、1996年から復元整備事業に本格着手してききた。これまで16棟の建造物や石垣等を復元、出島表門橋架橋、出島表門橋公園を整備し、また2020年までにエリア全体の夜間景観整備を進め、約70年をかけて公共空間と建物等が一体となった歴史的景観の再生、夜間の景観等も含めた魅力ある景観の創造を進めてきた。こうした復元整備事業を進めるにあたって、地区住民の理解と協力、経済界が中心となって集められた約10億円の基金が大きな力となった。
今回、一定のまちなみ形成がなされたことにより、出島の管理運営に携わっている企業・団体、地元自治会と協同で都市景観大賞「都市空間部門」へ応募を行い、応募総数18地区の中、長崎県内では初となる都市景観賞を受賞した。審査評価として、70年に渡り長崎市役所と住民、市民、専門家が総力をあげ官民一体となって取り組んだ出島復元整備の文化事業は、まさに圧巻である。失われた歴史空間を再現すると同時に、アプローチの橋と川を挟んだ対面に市民に親しまれる公園をいずれも最先端のデザインで実現し、歴史と現代が見事に対話する魅力的な景観を創り出すのに成功している。観光客に人気の出島の運営、市民が参加する各種イベント、公園での様々な活動には地元住民、市民との協同が望ましい形で実現していると評している。応募団体は、長崎市、長崎自動車株式会社、出島町自治会、江戸町自治会、NPO 法人長崎コンプラドール、 NPO 法人長崎の食文化を推進する会。(国土交通省ホームページより)