長崎市議会教育厚生委員会は、12月13日(水)10時から「第151号議案長崎市の小島養生所等遺跡の完全保存に関する住民投票について」、条例制定を直接請求した市民団体「養生所等遺跡の完全保存を実現する市民の会」の代表世話人からの陳述や、行政側(長崎市)との質疑を重ね、遺構の保存と校舎建設を並行して進める市の方針を支持することなどを理由に、賛成少数で否決した。審査では、条例制定を求めた参考人から、新校舎の建設予定地を遺構が見つかった旧佐古小から、旧仁田小へ変更する方が、敷地の広さや道路環境、建設費でなどで有利とした上で、遺構を現状のままで保存するべきと述べた。これに対し行政側は、地元と6年協議して新校舎の場所を決定したこと、保護者アンケートで約7割が計画通リの校舎建設を求めたこと、「文化庁は遺構を国史跡とするには保存状態が良くないとしている」と述べ、計画を変更する考えはないとした。
「小島養生所」と「分析究理所」遺構を、それぞれ起源とする長崎大学医学部と薬学部などから遺構の保存を求める要望書が市に届いているため、教育厚生委員会は田上市長に出席を求め大学とのやり取り、今後の方向性など質し、田上市長は「学内に様々な考え方はあるが、大学全体として市に保存方針を委ねる。意志は変わっていないことを確認した」と説明した。討論では、市民クラブを代表して梅原議員より「遺跡の保存と学校建設はどちらも重要な課題であると認識し、小島養生所等の遺跡の保存と学校建設の両立を目指すこと。学校建設を待ち望んでいる児童、保護者、地域住民の願いをくみ取った判断であること。遺跡などの完全保存は困難であるとの文化庁の判断など、遺構保存と校舎建設の両立は適切である」として、条例案に反対の討論が行われた。条例案への採決では、委員長を除く9人のうち8人が反対、1人が賛成した。本日(14日)の本会議でも否決される見通しとなっている。