長崎市議会の代表・一般質問において「長崎みなとメディカルセンター市民病院」の課題と解消策、病院機構の経営状況、運営と緊急医療など質問が行われたので、長崎市の見解について掲載する。長崎市は、長崎みなとメディカルセンター市民病院を運営する地方独立行政法人「市立病院機構」の平成28年度決算見込みが3億円程度の赤字となることを明らかにした。同機構は、平成24年4月に市病院局から移行し発足、初年度は約4億2,500万円の黒字だったが、平成25年度約5億1,500万円、平成26年度約14億9,200万円、平成27年度8億5,700万円と4年連続赤字が続いている。赤字の主な理由として、病院は現地建替えを進め、平成28年7月に病床を413床から513床に増やし、先行して医師、看護師等のスタッフを採用したことによる人件費の増、成人病センター閉院における診療機能縮小に伴う収益の悪化、その他に臨時的な損失として建設予定地の土壌汚染対策や雨水渠復旧に係る費用が生じたことが要因である。
安定した経営基盤を確立するには、病院稼働率を少なくとも80%程度確保する必要があるとし、昨年7月の稼働率は69.4%であったが、11月には79.9%、1月末では85.3%に上昇しており「稼働率を維持することで収支は改善していくと考えている」との答弁があった。平成29年度以降の収支は、人員体制も安定し、医療機器の充実も図られたことにより、患者数や診療単価の増を図るとともに、人件費の適正化、材料費及び光熱水費などの経費の縮減に取り組み、効率的な運営が果たせるよう努める。また、当初設立の目的であった、ER型の救急救命センターの設置は出来ておらず、地域周産期母子医療センターとしてハイリスク出産や未熟児に対する医療を継続して実施し、住民が安心できる継続的な医療提供体制の構築に努めているとの見解が示され、議員からは専門医の確保、人件費の適正化、運営資金が底をつく懸念が指摘され、市長は「経営は非常に難しい状況にあり健全化に向け市も連携する」との答弁があった。