長崎市出島町の国史跡「出島和蘭商館跡」と対岸の江戸町を結ぶ「表門橋」が、2月27日中島川の上に架けられた。ほぼ同じ場所に架かっていた「旧出島橋」が撤去された1888年頃から約130年を経て、出島のシンボルが再び姿を現した。今後、橋の手すりの設置、周辺の公園整備などが行われ11月24日に供用開始となる。1636年に完成した出島は海に囲まれた人工島で、対岸との間に木製の橋が架かり、1678年全長4.5mの石橋に架け替えられ、明治期の中島川の変流工事に伴い撤去されていた。鎖国時代は、日本と海外を結ぶ唯一の出入り口となり、出島は海外との貿易を通じて文化・医療・食文化など日本近代化の礎になった場所である。長崎市は、2013年度から5ヶ年の出島表門橋整備事業(総事業費約5億6千万円)の一環として、表門橋は史跡に重量をかけない特殊な構造となっており、長さ38.5m、幅4.4mの橋が架けられた。
また、出島関連予算では、平成29年11月の出島表門橋の完成に併せ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団長崎公演などの記念イベント、式典、企画展を開催し国内外に架橋事業完成の情報を発信するとともに、市民及び観光客へ出島の魅力の周知を図る出島表門橋完成記念行事費(2,453万9千円)、イベントの充実等魅力向上を行いながら「出島和蘭商館跡」を管理・保護・公開活用を図る出島運営費(1億3,552万2千円)、出島表門橋架橋工事費(1億5,060万円)が計上されている。併せて、出島表門橋と一体的に公園整備を行い、観光都市長崎の魅力向上を図る中島川公園(出島対岸地区)整備費(1億8,730万円)が計上され、公園整備A=1,100㎡、歩道整備L=93m、遺構調査など行われる。出島の復元の動きが始まって65年、出島の雰囲気を「体感」できる建物の復元に続き、今年は往時のように「橋を渡って出島に出入りする」という「体験」が出来るようになる。