長崎新聞政経懇話会5月例会は、5月17日(火)12時から長崎新聞文化ホール・アストピア(茂里町)において井上哲浩氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)を招き、「新しい時代のマーケティング戦略~新情報通信技術ICTとマーケティング~」と題した講演を行った。冒頭、井上氏より「情報が多様化し差別化によるものに変わって来ている。商品開発は顧客目線で進める事が重要である」と述べ、フェイスブックやツイッターといった交流サイト(SNS)を通じた情報収集に積極的に取り組むべきと指摘した。ものの価値は、機能にあると考えがちだが、機能を生かした「利便性」を重視する消費者が増えていると、ニーズの変化を説明した。
新しい時代のマーケティング戦略として、「内部マーケティング」「統合マーケティング」「パフォーマンスマーケティング」「関係性マーケティング」といった新たな手法を紹介した。「内部マーケティング」は、外(市場)に対してだけでなく、内部(社内)でも必要になっている。例えば、大手メーカーのペットボトルは、京都老舗茶業(1790年創業)と連携をとりながら、価値の提供・共有を図り、商品供給までに関与する調達、生産、保管、販売(営業)など、様々な部門が内部マーケティングによって連携を深めているとの説明があった。人口知能(AI)戦略では、「システム開発ではなく、何を入力とし何を出力とするか」というマーケティング知識が重要などの講演があった。