長崎県・長崎市、関係自治体は、2015年(平成27年)世界遺産登録に向け、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦書原案や遺産の保全管理計画の策定を終え国へ提出しました。文化庁は、今夏の推薦決定を目指す4件のうち「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は文化財の管理計画が整い「推薦可能」と判断しています。「九州・山口の近代化産業遺産群」は、8エリア28の構成資産で世界遺産登録を目指しており、「日本の近代化産業遺産群―九州・山口及び関連地域」に名称が変更され、4月23日に国(内閣府)に対し推薦書案が提出されました。
長崎エリアには、端島(通称軍艦島)炭鉱、高島炭鉱、旧グラバー住宅及び三菱重工業長崎造船所が所有する5資産の計8資産があり、緩衝地帯の設定、稼働中の産業遺産の保全といった遺産登録に向け解決すべき課題が残っている。「端島炭鉱等調査検討委員会」は、端島炭鉱は島の全域を、高島炭鉱は北渓井抗跡を国史跡にするのが適当であるとの方向性が出されたことから、現在文化庁と史跡指定に向けて協議している。三菱重工業長崎造船所が所有する向島第三ドック、史料館、ハンマーヘッド・クレーン及び占勝閣は、現在も企業の生産活動等に使用されている「稼働中の産業遺産」と呼ばれるものである。
文化財保護法による保護措置は、所有する企業の経営に与える制約が大きい事から、個別の状況に応じ景観法、港湾法などの法律や条例及び国、地方公共団体と所有者との協定に基づき柔軟な対応を行なうことが可能となりました。これを受けて、稼働中の産業遺産の登録を所管する内閣官房、所有企業、長崎県とともにそれぞれの役割を示す協定の内容検討及び景観法に基づく景観重要建造物指定による保護を念頭に協議を行なっています。今後、残された課題解決に向け必要な作業を行なって行くとの、一般質問に対する見解が示されました。