長崎市は、8月9日(月・祝)10時45分から平和公園(松山町)において、菅首相をはじめ各与野党の代表、遺族や被爆者、63カ国の政府代表者ら約500人が参列、「被爆76周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」を営み、原爆で亡くなった皆様のご冥福をお祈りするとともに、核兵器廃絶に向けての誓いを新たにした。一発の原子爆弾により多くの尊い命が奪われ、その後も放射線による障害など、多くの人々の心と体に決して癒えることのない傷跡を残した。田上市長は、平和宣言で「政府に対し、今年1月に発効した核兵器禁止条約の第1回締約国会議へのオブザーバー参加と、署名・批准や、国が定める被爆地以外で原爆に遭った被爆体験者の救済も要請」。日本政府と国会議員に対しては、核兵器による惨禍を最も知るわが国だからこそ、締約国会議に参加し核兵器禁止条約を育てるための道を探るとともに、北東アジア非核兵器地帯構想の検討をするよう、そして、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実を求めた。
式典で菅首相は、「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の努力を一歩ずつ着実に進める。安全環境や核軍縮をめぐる国家間の立場の隔たりがある中で、相互の関与や対話を通じて不信感を取り除き、共通の基盤の形成に向け努力する」などの挨拶があった。被爆者を代表として岡信子さんは、「被爆者の悲願であった核兵器禁止条約が発効された。核兵器廃絶への一人一人の小さな声が世界中の大きな声となり、若い世代の人たちがそれを受け継いでくれた」と訴えた。平和公園では、原爆投下時刻の11時2分に、原爆の犠牲となられた多くの御霊に対し黙とうを捧げた。被爆地長崎は、8月9日76回目の原爆の日を迎え、コロナ禍の中であるが県内各地で犠牲者の冥福を祈る慰霊祭や追悼行事が営まれ「祈りと誓いの日」となった。7月末までの1年間に死亡した被爆者と被爆体験者計3,202人の名を記した原爆死没者名簿を奉安、累計奉安数は18万9,163人となった。