長崎市は、8月9日10時45分から平和公園(松山町)において、岸田首相をはじめ各与野党の代表、遺族や被爆者、100カ国の駐日大使ら約2,400人が参列、「被爆79周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」を営み、原爆で亡くなった皆様のご冥福をお祈りするとともに、核兵器廃絶に向けての誓いを新たにした。鈴木史朗市長は、平和宣言で「核兵器不使用という人道上の規範が大きく揺らいでいることに危機感を表明。核保有国と核の傘の下にいる国に指導者の被爆地訪問を呼びかけるとともに、核兵器廃絶に向けてかじを切り、外交努力で鄭和的解決の道を探るよう要請。日本政府には核兵器禁止条約への署名・批准、東アジアの緊張緩和と軍縮に向けたリーダーシップ、被爆者救護の充実、被爆体験者救済を求めるなど」、長崎を最後の被爆地にするため、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くすと宣言した。
式典で岸田首相は、「被爆の実相を世界に伝えることが核軍縮の原点だとし、被爆者の協力を得て実相への理解を促す努力を続ける。非核三原則の堅持しつつ核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードするなど」と訴えた。被爆者代表の三瀬清一朗さんは、「ウクライナやパレスチナ自治区カザで多くの子どもが命を落とす中、悲しい現実を目の当たりにして戦争の愚かさから目をそらすことはできない。英語で平和は人類共有の世界遺産である」と訴えた。平和公園では、原爆投下時刻の11時2分に、原爆の犠牲となられた多くの御霊に対し黙とうを捧げた。7月末までの1年間に死亡した被爆者と被爆体験者計3,200人の名を記した原爆死没者名簿を奉安、累計奉安数は19 万8,785人となった。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は3月末時点で10万6,825人、平均年齢は85.58歳となっている。