長崎市議会は、12月10日「核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」及び「離島振興法の改正・延長を求める意見書」を賛成多数で可決し、岸田首相、衆参議長等、政府関係機関に提出した。核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書では、本年1月に核兵器禁止条約が発効し、史上初めて核兵器が全面的に禁止されるべき対象であることを明確にする根本規範ができ、来年3月、同条約の第1回締約国会議がウィーンで開催される。このことは、被爆者の思いが国際社会を大きく動かしたものであり、「長崎を最後の被爆地に」と訴え続ける長崎市民、さらには人類の悲願である核兵器の禁止・廃絶を具体化する大いなる一歩となるもの。一方、核保有国や核の傘の下にある国々から核兵器禁止条約は支持を得られていない状況にあり、今後、同条約に核保有国やその同盟国をはじめ多くの国が参加し、包括的で実効性の高いものにしていくことが大きな課題となっている。
この課題を克服するため、今後、NPT再検討会議での核軍縮のための議論や、核兵器禁止条約の効果的な運用と発展に向けた議論に日本政府が積極的に加わっていくことが重要である。そのような中、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の加盟国の一部は締約国会議へのオブザーバー参加を表明している。唯一の戦争被爆国である我が国は、核兵器廃絶の実現に向け特別の役割と責任を負っている。よって、国会及び政府におかれては、各国の対話や行動を粘り強く促すなど、核保有国と非核保有国の橋渡しに努め、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードするよう、次の事項に取り組まれることを強く要望する。①核兵器禁止条約を早期に署名・批准すること。まずは、締約国会議にオブザーバーとして参加すること。②その上で、核保有国を含む核兵器禁止条約に署名・批准していない国に対し、署名・批准を要請すること。