島根県松江市の「島根県立産業交流会館(愛称:くにびきメッセ)」は、国際・国内学会をはじめとする各種会議や大会・総会、見本市および展示会ならびにスポーツ大会等の誘致、開催支援等を行い、県内産業の振興と地域の活性化、文化の向上に寄与することを目的に、平成3年8月財団法人設立総会を開催し、平成5年10月オープンした。くにびきメッセは、地下1階、地上6階の鉄骨鉄筋コンクリート造、延べ床面積15,718㎡、駐車場普通車441台、自転車置場40台、建設費88億円、建設期間は平成3年12月から平成5年8月までの約21カ月で、開館から20年を経過している施設である。現在、長崎市がJR長崎駅西側で検討しているMICE施設(コンベンション施設)と同規模の施設で、一般財団法人くにびきメッセが管理運営を行ない、原則産業交流会館の利用料の収入、賛助会費・その他委託費などで運営されている。
収益の状況は、会館内のフロア・空きスペースを民間企業・諸団体に賃貸して関係もあり、平成5年度からの累計で約8,000万円の黒字を拠出、スタート時基本財産は約8億円であったが、20年間で2億円から4億円財産を貯めたとの説明があった。コンベンション誘致・支援実績は、約20年間で2,132件、参加者数は105万9,617人、延べ人数は223万2,529人で、人口約20万の松江市に人が訪れている。コンベンション開催支援補助金交付実績は、島根県が累計で約4億7,000万円、松江市が累計で約2億6,000万円を拠出し、コンベンションの誘致・支援を行なっている。会館の稼働状況は、約40%前後で推移しながら、累計で催事件数は26,473件で、入場者数は約823万5千人が利用されている。最後に、説明者より「コンベンション誘致は手厚い補助金も有利であるが、最後は人の繋がりで決まるもの」で「人」が果たす役割が大きいとの話があった。島根県の人口減少・大学や企業も少なく、交通アクセスも悪い状況のなかで、黒字ベースで良く頑張っている施設と感じられた。