被爆地長崎は、8月9日に78回目の原爆の日を迎えた。台風6号の本県接近を受け、安全確保を優先し長崎市関係者のみで、10時45分から出島メッセ長崎(尾上町)に会場を変更して営まれ、原爆で亡くなった皆様のご冥福をお祈りするとともに、核兵器廃絶に向けての誓いを新たにした。鈴木市長は、平和宣言で「78年前に原子雲の下で何が起こったのかという原点に返り、今、核戦争が始まったら、地球に、人類にどんなことが起こるかという問いに向き合うべき。核保有国は核抑止への依存からの脱却を、勇気を持って決断し対決だけでなく対話による、核兵器廃絶への道を求めた。被爆者援護の充実と被爆体験者の救済を強く求めるなど、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くす」と宣言した。
被爆者代表の工藤武子さんは、「唯一の被爆国である日本は、今こそ広く世界に核兵器の非人道性を伝え、武力に拠らない平和創造の道筋を示し、地球と人類のみ来を守るには、核兵器廃絶しかないと強く訴えるべき」と平和への誓いを述べた。大石県知事はビデオメッセージを寄せ、「広島で黒い雨に遭った方々と同じ事情の被爆体験者に救済の道を」と訴え、岸田首相も「核兵器のない世界実現の決意」を語った。出島メッセ長崎では、原爆投下時刻の11時2分に、原爆の犠牲となられた多くの御霊に対し黙とうを捧げた。7月末までの1年間に死亡した被爆者と被爆体験者計3,314人の名を記した原爆死没者名簿を奉安、累計名簿登載数は19 万5,607人となった。