連合長崎加盟の交通労連と日本労働弁護団は、6月18日(火)18時から県勤労福祉会館において労組役員やタクシードライバーら約110名が出席して「交通の安全と労働を考える市民会議in長崎」を開催した。市民会議の趣旨は、ウーバーなどがニューヨーク市でライドシェアを始める2011年までは、市内のタクシー台数は13,000台であったが、2011年以降約10倍の13万台まで増えたことに伴う、長時間労働、ドライバーは個人事業主で価格競争のなかで安い賃金など労働に与える影響・問題を考えるとし、長崎は22回目の市民会議となる。ライドシェアとは、仲介サイト事業者がスマートフォンのアプリで運転者と利用者を仲介し、自家用自動車を使って有償で利用者を運ばせる配車サービス。仲介サイト事業者は、手数料として運賃の20%から40%を収受し、道路運送法の許可なしに一種免許しか持たない、一般ドライバーに有償で旅客運送をさせている(現行法上違法)
講演ⅠではITF(国際運輸労連)浦田政策部長から「ライドシェアを巡る世界の動向と日本の課題」、講義Ⅱでは川上資人弁護士から「雇用によらない働き方とライドシェア」と題して説明があった。このライドシェアは、一般利用者にとっては利便性が良いが、容認することによって労働に与える様々な問題がある。例えば、ドライバーは労働者でなく個人事業主で労働条件の悪化。労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)の否定となり、団体交渉応諾義務なし。突然の手数料割合の引き上げ(20%→30%→40%)、突然の運賃の引き下げ、解雇、閉鎖など行われる。仲介事業者は、利用者と契約関係になく安全責任を負わず、ドライバーが事故の責任を負わされる。度重なる違法行為や既存のタクシー事業者との不公正競争、公共交通の破綻、交通渋滞による環境汚染につながり、労働法の潜脱、事業法の潜脱などの問題点があるとの説明があった。利用者(消費者)の立場から考えると、利便性の良さや安さは良いが、その裏側に潜む問題点・課題を痛感した。