約200年以上の伝統を持つ、国選択無形民俗文化財(長崎市無形民俗文化財)の「竹ン芸」は10月14日(土)・15日(日)の両日、伊良林2丁目の若宮稲荷神社の秋季大祭で3年ぶりに奉納された。男狐・女狐の面をつけた2人の若者が、高さ10m余りの2本の青竹の上で曲芸が行なわれた。神社の使いである男狐・女狐が若宮神社の御神徳をよろこんで裏の竹藪で遊ぶ姿を模したもので、文政3年(1820)に初めて八百屋町が諏訪神社に奉納(長崎くんち)したのが始まりといわれている。奉納会場は見物人で満員の状況、今年も10前に会場に到着はしたものの中庭に入ることもかなわず、竹ン芸の見える位置からの見物となった。
竹ン芸は、五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛などを願い、お稲荷様への感謝を込めた郷土芸能で、「ヨイショ、ヨイショ」の掛け声に合わせ、竹を揺らしながら逆立ち・合わせ技などが披露され奉納されている。狐達の曲芸の青竹は、カセと呼ばれる足かけ棒が15本つけられた「昇り竹」とカセが4本の「振り竹」が台に取り付けられているだけである。竹ン芸保存会メンバーの息の合った技、緊張感がはしる会場、命綱なしの芸に私もハラハラどきどきしながら男狐・女狐の二人を見守った。クライマックスは、懐に潜ませたニワトリを宙に放すところで、2匹の白ギツネが繰り出す優雅な舞・妙技に盛んな拍手が送られていた。奉納は14日(2回)・15日(3回)の計5回。