長崎市においては、ライトアップが都市景観の演出として定着する以前より、港を中心としたすり鉢状の地形と市街地の高密度化によって、「1000万ドルの夜景」とも評される立体的で美しい夜景が形成されていた。その魅力をさらに高めるため、主要な観光施設等のライトアップや街路灯の整備、ロープウェイのリニューアル、夜景ガイドの育成等を実施してきた。このような取組みが評価され、平成24年10月にモナコ・香港とともに「世界新三大夜景」に、平成27年10月に札幌市、神戸市とともに「日本新三大夜景」に認定されている。鍋冠山展望台から見える夜景は、長崎港の入口から港内まで見渡すことができ、港内に目を向けると長崎特有のすり鉢状の地形も一望できる。クルーズ船が入港すると、クルーズ船の灯りが映える夜景も魅力的である。現在は、新型コロナの影響で入港はストップしているが、一日も早い収束を願うものである。
丸々もとお氏(夜景評論家・夜景プロデューサー)の長崎夜景の魅力は、すり鉢状の湾岸から丘陵部が急激に立ち上がる地形ゆえ、ダイナミックな夜景が鑑賞できる視点場は実に豊富である。鍋冠山やグラバー園、市内北側に位置する立山、風頭公園なども、長崎夜景の景観的特徴を存分に味わえる視点場として有効である。丘陵部に不規則かつ無数に展開する住宅の光や道路照明は夜空に瞬く星団のようにも見え、それらの光と光をつなぐことで星座のようにも見えると評している。星座には、稲佐山から見える夜景は、はと座(鳩は市の鳥)、つる座(長崎港は鶴の港)、りゅう座(長崎くんちの龍踊り)なども含め、ハート型の夜景も楽しめる。鍋冠山から見える夜景は、長崎港の入口に位置する女神大橋(ヴィーナスウィング)、稲佐山山頂電波塔、ジャイアント・カンチレバークレーン(世界遺産の構成資産)、水の浦地区の斜面地に配置された“北斗七星”など、長崎夜景の素晴らしさが堪能できる。