長崎市議会市民クラブは、さる1月27日(月)から29日の3日間、金沢市・福井市を訪問「金沢市宿泊税条例の制定について」「福井市プログラミング教育の導入について」「福井県立恐竜博物館現地調査」など視察を行った。現在、長崎市では2021年(令和3年)10月に野母崎総合運動公園水泳プール跡に開館する予定の長崎恐竜博物館(仮称)の基本計画を策定し、建築設計・常設展示室の設計・資料収集など準備を進めている。博物館の敷地面積は約4400㎡、建物は鉄筋コンクリート造り一部2階建て、延べ床面積は約2500㎡を計画し、総事業費は約17億円としている。博物館の中核となる常設展示室は1、2階を合わせて約850㎡、全体を五つのゾーンに分け、メインの「恐竜の時代ゾーン」には市内で見つかった化石やレプリカなどに加え、オランダ・ライデン市にある自然史博物館から購入する全長13mのティラノサウルスの骨格レプリカを展示することになっている。今回は「福井県立恐竜博物館現地調査」の概要について掲載する。
福井県立恐竜博物館は、日本一の恐竜資料の収蔵点数(4万点超)、日本一の恐竜化石発掘量と研究実績、6体の新種恐竜の発見と骨格復元(日本産新種恐竜は9種)、恐竜化石発掘現場の近接地に立地、国の天然記念物指定(発掘現場と発掘された恐竜化石)、44対もの恐竜全身骨格の常設展示(実物化石10体)、年間約94万人の来館者(都道府県立自然史系博物館では日本一)が訪れ、「研究成果の披露」と「アミューズメントの提供」の両立を図っている。施設概要は、平成12年(2000年)7月14日開設、敷地面積約3万㎡(勝山市から無償貸与)、述べ床面積約1.5万㎡(うち常設展示室約4,500㎡)、駐車場約1,500台、整備費約140億円(建設費約90億円、展示等約50億円)、運営費は1年間で約6億8,000万円(職員の人件費を除く)、観覧料等1年間で約5億円の収入を得ているとの説明があった。福井県立恐竜博物館は、長崎恐竜格物館と比較すれば敷地面積で6.8倍、述べ床面積で6倍、常設展示室で約5.3倍となっている。
世界トップの入館数を誇る福井県立恐竜博物館と比較すれば、大きく見劣りする長崎恐竜博物館、長崎ならではの特色ある博物館の基本的考え方における基本理念、目指すべき博物館の姿、恐竜博物館の役割、交通アクセス、駐車場、博物館の管理運営、誘客・営業・PR活動の基本戦略など、令和3年10月オープンに向け具体化が求められている。福井県立恐竜博物館の誘客・営業・PR活動の戦略は、①研究施設が持つ独自のコアバリュー(根本的価値)の発信による「本物」の体感を提供、②ターゲットの絞り込み、対人では親子連れ、子ども(特に小学生)、高齢者、女性。対時期は年末年始から春休み集中。対場所は大型商業施設、水族館、動物園などファミリー層の訪問先、不特定多数、ゴールデンウィークや夏休みをターゲットとする従来型(行政型)とは一線を画す。③テレビ局などのマスコミや大都市圏の商業施設などとのコラボ企画で、情報発信(情報公開)の徹底・強化など。④おもてなし力(運営力)の強化など取り組みが進められている。長崎市も是非参考にすべきと思う。