長崎新聞政経懇話会は、12月19日(木)12時から長崎新聞文化ホール・アストピア(茂里町))において経済評論家岩本沙弓氏を招き、「2020年経済展望」の演題で、長崎新聞政経懇話会12月例会を開催した。岩本沙弓氏のプロフィールは、1991年より日・米・加・豪の金融機関にてヴァイス・プレジデントとし外国為替、短期金融市場取引を中心にトレーディング業務に従事。元大阪経済大学営学部大学院客員教授、主な著作に「円高円安でわかる世界のお金の大原則」などがある。講演の概要は、株価と為替:相関➡乖離(潮目)について、ドル円為替レートと強い相関を示してきた日経平均株価は、2017年1月トランプ政権以降潮目が変わり、難しい時期に入った。日本の経済は、米国の経気道動向に大きく左右される。最新の月例経済報告を踏まえ、景気回復局面の特徴は、海外経済の回復、企業部門の収益は大幅に増加しているが、家計部門の可処分所得は伸び悩んでいる。
為替レートは国同士の綱引きで、ドル(米国)と円(日本)を比較すると、経済はどちらが強いのか、金利は上がるのか・下がるのか、輸出と輸入はどちらが多いのかなど、ドルを買う・円を売る(円安・ドル高)、ドルを売る・円を買う(円高・ドル安)、市場に出回る通貨の量によって円安・円高となる。米財務省・為替報告書によるとトランプ政権は、貿易に対する不公平な障壁を撤廃し、主要な米国の貿易相手国とより公正で互恵的な貿易を実現するたに取り組みを進めている。米国の国別貿易赤字国は、中国からの輸入額(59兆円)が最も高く、仮に25%の関税なら15兆円の関税収入となる。消費税増税の影響は、増税前に駆け込み需要で右肩上がりに上昇、増税で生じる物価上昇による実質所得の減少、消費税率引き上げに伴う軽減税率制度の実施、ポイント還元など負担以上の補填となっている。少子高齢化・人口減少が進むなか、本来なら1人あたりの消費を増やす施策が必要であるとの見解を示し、世界経済の波乱要因は貿易摩擦から国際課税へ、デジタル課税についてなど講演が行われた。