市民クラブの「平成31年度政策要求」に対し、2019年度予算案に反映された主な事業概要を掲載する。歴史と文化を活かした魅力あるまちづくりの推進における「2つの世界遺産の保存整備と周辺環境整備の取り組みを加速させること」については?長崎市には、「明治日本の産業革命遺産」の8資産と「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の3資産をあわせて11 の資産がある。世界遺産の構成資産は、将来にわたる万全の保護措置や来訪者に対する受入態勢の整備が必要であり、「産業革命遺産」の構成資産のうち、特に劣化の激しい端島(軍艦島)は国の補助の要件として必要な「史跡高島炭鉱跡整備基本計画」の策定を終え、平成30 年度から本格的な整備に着手している。端島以外の構成資産についても、三菱重工業株式会社長崎造船所所有の稼動資産以外は、国の文化財に指定されていることから国の文化財補助事業を活用し、「潜伏キリシタン関連遺産」は国の文化財補助事業を活用する。
構成資産の整備は、多額の予算を必要とすることから、今後とも、引き続き、国や長崎県に対し財政面での支援を強く求める。端島の整備については、端島見学施設使用料及びふるさと納税等を原資とする「端島(軍艦島)整備基金」を設置しており、将来にわたる整備事業の財源を確保する。また端島見学施設の災害復旧対策については、これまでの台風による施設損壊の経験に基づき、その都度必要な資材について準備を行ってきたが、平成30 年の台風では想定を超える被害が発生したことを踏まえ、今後は施設を早期に復旧できるよう、必要な資材などを事前に準備しておく。産業革命遺産推進費2,011万1千円、潜伏キリシタン遺産推進費4,475万8千円、端島炭鉱保存整備費5,470万円、高島炭鉱跡高島北渓井抗跡の保存整備費3,130万円など計上されている。
周辺環境整備は、これまでも教会堂周辺の環境に配慮した駐車場、トイレ、構成資産までの歩行者用ルートの整備を実施しているほか、出津、大野の集落については観光客の増加による住民の生活環境への影響が出ないよう今後、地元住民の意見も聞きながら、誘導板や案内板の設置など、可能な対策を検討する。また、4カ国語表記の説明板を道の駅「夕陽が丘そとめ」と外海歴史民俗資料館に設置するなど、来訪者への情報提供を行うとともに、これらの施設に遠藤周作文学館を加えた3施設には、外国人観光客を含めた来訪者の利便性向上のため、公衆無線LAN環境を整える。道の駅「夕陽が丘」は、普通乗用車25 台が駐車できる第5駐車場を整備し、混雑時の渋滞が道の駅の外に生じないように努めている。