本年の長崎市議会を振り返ると、6月議会では老朽化に伴う長崎市庁舎の建て替えを巡り、市民団体が地方自治法に基づき住民投票条例の実施を求めた「長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例について」、9月議会では「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、11月議会では「長崎市の旧公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、総務委員会・環境経済委員会において市民団体の声を重く受け止め、慎重に審査を行いずれも本会議で記名投票の結果否決されたこと。また、市公会堂の解体工事で業者と契約を結ぶ議案は市の規定を守らずに発注した「工事の請負契約の締結について(旧長崎市公会堂解体工事)」を否決したことなどが主な出来事であった。
次に、大型事業の関連では、九州新幹線長崎ルートは在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」を導入し2022年度に暫定開業することで合意したが、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の実用化に向けた耐久試験や、FGTに必要な費用は新幹線の2.5倍~3倍程度かかるとして、コスト低減も課題となった。長崎駅周辺では、長崎駅周辺土地区画整理事業(平成35年)、JR長崎本線連続立体交差事業(平成32年)、長崎ルートのトンネル建設工事、JR長崎駅西側の交流拠点施設について11月定例会で建設・運営事業者を公募する予算を可決した。7月からは新西工場において試運転を開始、10月から本格的に稼働している。新市庁舎建設・旧公会堂の在り方などについては、行政から市民に対して十分な説明が不足していたと言わざるを得ない。