長崎市は、老朽化のため2015年に廃止された長崎市公会堂に代わるものとして、新たな文化施設の建設を議論してきた。田上前市長は、2026年度の完成を目指して旧市役所跡地に文化施設を建設する基本計画を示していたが、2023年4月に就任した鈴木市長はこの計画を見直す方針を示し審議会等で議論してきた。鈴木市長は、昨年2月定例会の中で、新たな文化施設の建設地を市庁舎跡地(桜町)とし、建設や施設運営などで民間資本を活用する手法(PFIなど)の導入を検討する方針を明らかにした。設計費や外構工事費などを含まない建設費は、基本計画の策定時点で66億~69億円を想定していた。物価高騰による建設費などの大幅な増加が見込まれる中、官民連携により、市の財政負担軽減や文化施設機能に加える地域活性化策につなげると再考を表明し、完成時期は当初の2026年度から遅れることになった。
この旧市庁舎跡地は、駅周辺とまちなかを結ぶ「極めて重要な場所」、「文化施設としての機能に限定せず、それ以外の機能も付加した形での利用も視野に入れる」とし、民間事業者から活用案を募る「サウンディング型市場調査」の結果を、昨年12月定例会の総務委員会で報告した。市場調査では、施設着工時期は複数の事業者が建設ラッシュによる人材不足などで、早期は難しく「2027年度以降」と提案している。文化施設の供用開始時期は、「現在、PFI(民間資金活用による社会資本整備)などの導入に向けた作業をしており、具体的に最短でどのくらいで工事完了するかは示せない」としつつ、「一般的には設計から工事完了までに約5年程度は要する」との見解を示している。基本計画の再考から2年目、2月定例会の関連予算に計上できるのか注目される。