三菱重工業は、エネルギー脱炭素化に関する技術開発を推進する中心拠点として「長崎カーボンニュートラルパーク」を長崎市に整備し、運用を開始したことに伴い、1月23日組合役員らとともに長崎研究所の視察を行った。当日は今季一番の冷え込みと、断続的に雪が降る中での見学となった。視察概要は、総合研究所長崎地区の水素製造、バイオマス合成燃料製造、アンモニア燃焼、CO2回収に関する既存の研究施設において燃料製造や燃焼技術、CO2回収技術などを開発するとともに、長崎造船所長崎工場、香焼工場で培ってきた熱エネルギー機器の設計・製造といった機能を活用しつつ、製品化や事業化に向けた研究開発を加速していくとの説明があった。順次、関連設備を拡充していくという。
このうち水素製造では、固体酸化物形電解セルによる高度な水電解装置の開発に加え、メタンを熱分解することにより水素と固体炭素を得る水素製造(ターコイズ水素)など、次世代水素製造技術の研究開発に取り組んでいる。長崎研究所でキー技術を開発した後、高砂水素パーク(兵庫県高砂市)での水素製造実証運転、水素ガスタービンとの連携した発電実証も実施する。アンモニア燃焼は、同地区にある大型燃焼試験炉で実機サイズのバーナーを用いた、燃焼試験を実施した上で、2024年度以降に発電所の実機での高混焼実証試験を行う。三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を掲げ、「既存インフラの脱炭素化」「水素エコシステムの実現」「CO2エコシステムの実現」の取り組みを進めている。脱炭素化に向けた民間の取り組みを学んだ。