長崎県原子力平和利用研究会議(高比良末男議長)は、7月16日(木)14時からベストウエスタンプレミアホテル長崎において「長崎県原子力平和利用研究会議役員学習会」を開催した。原子力平和利用研究会議は、日本のエネルギー政策や原子力発電に関わる課題・安全対策、原子力の平和利用等、国際社会における日本の役割とわが国の産業・経済の発展に質し、国民の生活の安定向上を図る目的で、産別労組の加盟組織と各級議員、個人会員によって構成されている。今回、役員の意識高揚を図ることを目的に「最近のエネルギー情勢とエネルギー政策」について、工藤和彦氏(九州大学名誉教授)より講話があった。世界のエネルギー消費量(石油換算トン/人)は、カナダ7.2トン・アメリカ6.8トンで上位を占めているが、世界平均1.9トンを超え中国2.1トンと急激に伸び、エネルギー構成〈2013年〉は石油33%、天然ガス24%、石炭30%、原子力4%、水力7%、再生可能エネルギー2%となっている。
日本のエネルギー基本計画(第4次)では、化石燃料資源に乏しくエネルギーの安定的供給は大きな課題で、福島原発事故から福島の復興・再生を成し遂げ再構築を図る必要がある。構造的課題は、電力供給における化石燃料依存度はほぼ全て海外からの輸入で、エネルギー安定供給のリスクが大きく中東情勢等の変化に左右されやすい。日本のエネルギーは今、原発が停まった分は火力発電で穴埋めし、発電用燃料の負担は東日本大震災後、約3.6兆円/年増加、1人あたり年間約3万円、1日当たり約100億円の負担増となっている。原子力政策の再構築のため、福島の再生・復興に向けた取り組み、原子力利用における不断の安全性向上と安定的な事業環境の確立、対策を将来へ先送りせず着実に進める取り組み、使用済燃料問題の解決に向けた取り組みの抜本強化と総合的な推進等、関係自治体や国際社会の理解を得つつ核燃料サイクルを推進するとともに中長期的な対応の柔軟性を保持する必要があるとの説明があった。