令和7年12月議会 一般質問(要旨)

1.市長の政治姿勢について

(1)重点プロジェクトの推進

質 問

市長の政治姿勢について、重点プロジェクトの進捗状況と注力すべき点は?

回 答

重点P/Jは人口減少対策を目的に、令和6年度から令和8年度まで「経済再生」「少子化対策」「新市役所創造」を集中的に取り組んでいる。成果は、社会動態において令和6年度は、転入者数・転出者数ともに好転し、前年度比で1,502人改善した。一方、自然動態は厳しい状況が続き、令和6年度は前年比で616人悪化している。その中で、経済再生は、第5次総合計画における目標である企業立地件数17件、企業誘致に伴う新規雇用者数1,791人に対し、令和6年度までの実績は22件、993人となっている。引き続き、基幹産業の発展や成長産業の集積を見据えた、企業誘致に取組み、人材確保に向けて力を入れる。

次に、少子化対策は、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略において「婚姻数」や「出生数」を目標に掲げ、出会いの場の創出や相談などの新たな取組みを行っている。また、第二子以降の保育料無償化で1,933人、小中学校給食費の物価高騰分の公費負担で約25,500人に支援を行い、子育て家庭の経済的負担を軽減した。新市役所創造では、ほかのP/Jを支援する市役所を担う人づくりの視点から、人材獲得などの取組みを進めている。時代にあった市役所経営の視点から、公金支払方法のキャッシュレス化の推進など図っており、行政手続きのオンライン化の現在の達成率は、目標の50件中39件の78%に達している。令和8年度に向けては、昨年度策定した「人事戦略」や「第2期行政経営プラン」などの取り組みを着実に進める。

(2)平和公園スポーツ施設再配置

質 問

市長の政治姿勢について、平和公園スポーツ施設の再配置におけるソフトボール場の検討状況は?

回 答

長崎県が進めている長崎南北幹線道路は、令和7年6月に国から事業認可を得て、令和18年度完成を目指し、現在、用地取得に向けた取り組みが進められている。今年10月23日、事業の推進を図るため、長崎県と長崎市が協定の締結を行ない、事業の推進につながる地域情報提供のほか、地元調整や用地交渉など、県と市の双方で連携し協力していく。

スポーツ施設の再配置は、利用者の方が各スポーツ施設を継続して利用できるよう進めて行く。中部下水処理場跡の建物解体完了後(令和9年度予定)、令和10年度以降に400㍍の陸上練習トラックを中部下水処理場跡に確保、令和12年度以降、現在の陸上競技場の場所にプール整備が予定されている。道路の着工は、西町から江里町までのトンネル区間から着手する。

市営ソフトボール場は、柿泊町の長崎市総合運動公園の運動広場に移すことが必要となる。ソフトボール場移転後に弓道場等の場所を移すことになるため、ソフトボール場移転のための設計を早期に行う。移転後のソフトボール場の機能や規模等は、現地立会を行い、現在、照明設備や観客席などの機能について協議調整を進めている。

移転時期は、継続して利用ができるよう長崎市総合運動公園にソフトボール場を整備したのち、松山町の市営ソフトボールを移転し、その後解体を行う。このため、今後も関係団体と協議調整を進めるとともに、検討状況等の情報を共有し、スポーツ施設の利用に支障が生じないよう整備スケジュールを立てる。

再質問
ソフトボール場の整備、総合運動公園周辺の再整備の考え方は?

 

回 答

ソフトボール場の整備は、各スポーツ団体との協議や調整、移転補償などの事業費、南北幹線道路の整備スケジュールや進捗状況を踏まえて進めていく必要がある。先ずは、ソフトボール場移転のための設計を想定スケジュールどおり進められるよう努める。運動公園周辺の整備の考え方は、長崎南北幹線道路の事業進捗を図るため、トンネル掘削で生じる残土を有効に活用して運動広場の造成、拡張を行い、4個のソフトボール場機能を確保出来るよう計画する。運動広場の造成計画は、約50万立法㍍の土量が必要と見込んでおり、造成には安全性を確保して進める一定の期間を必要とするが、できるだけ早い完成を目指している。

意見・要望

残土の埋立地(造成工事残土受入地)は、フラット状態になるまで令和15年以降と想定がされ、何年先になるのか確定できない状況にあります。そこで、かきどまり総合運動公園の周辺、運動広場入口周辺は長崎市の市有地であり、駐車場を含めての周辺整備の計画を具体的に検討されることを要望した。

2.地域防災力の向上について

(1)地域における防災力向上の取組

質 問

地域における関係団体と連携した(防災組織の結成・防災マップ)地域防災力の向上について、今後の取り組みの方向性は?

回 答

阪神・淡路大震災や東日本大震災以降、災害時における公助の限界が懸念される中、一人ひとりが「自らの命は自ら守る」「地域住民で助け合う」という防災意識が醸成された地域社会を構築することが重要となっている。自主防災組織の結成促進は、令和7年11月末現在、結成組織数は630組織であり、活動カバー率は72%となっている。現在の結成促進の取組みは、昨年度実施した自治会長アンケート調査において、自主防災組織の結成に関心のある自治会に対し、職員が直接足を運び、地域の実情に応じた自主防災組織の結成について説明を行い、一方、単位自治会での結成が困難な地域に対しては、連合自治会や地域コミュニティ連絡協議会単位で結成を提案するなど、働きかけに努めている。

次に、地域防災マップの作成状況は、住民の方が地域の危険箇所や近隣の避難所などを確認しながら作成するもので、令和7年4月1日現在968ある自治会のうち、本年11月末時点で590の自治会において作成されている。今後の取組は、作成に関心を示していただいた自治会や、作成から5年を経過した自治会に対し、作成及び見直しについて働きかけていく。単位自治会での作成が困難な地域は、連合自治会や地域コミュニティ連絡協議会単位での、作成促進を行って行く。

再質問

避難所の運営を地域で担うためには、具体的な取組みが必要であるが市の見解は?

回 答

長崎市では、37ある中学校のうち、27の校区において地域の皆様と連携して避難所運営に取り組んでいる。連携いただいている地域の方々には、避難所開設時における受付書類の記載要領や、避難された方の体調管理シートの記載方法などについて手引きを作成している。しかしながら、実際の避難所運営は、受付や体調管理だけではなく、先月の福田中学校における訓練でも実施されたとおり、物資の配分、スペースの割り振り、衛生管理、要配慮者への対応など、多岐にわたる業務が発生する。

今回の福田中学校の取組みは、生徒たちが主体的に役割分担を行い、状況に応じて判断する力を身につけるためには有意義な者であり、今回のような実践的な活動は、地域の皆様による避難所運営においても大変参考になった。今後は、福田中学校での取組み事例も参考にしながら、地域の皆様がより円滑に避難所運営を行えるよう、地域における防災訓練の充実に努める。

意見・要望

福田中学校の防災訓練を通じて、災害時の行動は、自分の身体は自分で守る、自分で身体を守れない人をどのようにサポートするか、常日頃から備えることが大切と感じた。避難所運営における中学生の主体的役割分担、実践的活動の体験は防災意識を考え、貴重な体験となったと思うし、このモデル事業を他の地域・学校関係に活かす必要性を感じましたので、水平展開を要請した。

また、長崎サンセットマリーナを海の防災拠点と機能させるためには、備蓄品の充実も必要との見解も示された。現在、福田地区では、長崎市からの備蓄品の配備、福田小学校コミュニティ連絡協議会による自前による備蓄品確保、長崎サンセットマリーナの贈呈備蓄品、そしてライフジャケットの提供などを受けて、いざと言うときの備えを行っている。福田地区に所在するサンセットマリーナは、長崎県の所管施設であり「海の駅」として国に認定されている。引き続き、関係機関と連携した備蓄品の確保に向けての支援、海の駅防災モデル拠点となるよう、長崎県と連携し国に働きかけられたい。

(2)地域防災訓練の現状と課題

質 問

地域の団体と連携した防災訓練の現状と課題は?

回 答

長崎市では、令和2年度の新型コロナ以降、総合防災訓練の実施を見合わせているが、その一方で、地域防災力の向上を図るため、単位自治会や連合会、地域コミュニティ連絡協議会などが実施する地域主体の防災訓練、防災講話、地域のお祭りなどにおける支援や啓発に取り組んでおり、コロナ禍の令和2年度は支援の回数が年間47回まで落ち込み、昨年度は合計121回まで回数を増やしている。防災訓練は、大きく机上訓練と実働訓練の二つの形態がある。机上訓練の一例として、避難所の運営を実際に自分たちで行う必要が生じた際、避難された方の受付方法、避難所のレイアウト検討、避難施設の安全確保など、知識や手順を確認していただくものがある。

次に、実動訓練では、実際に体を動かして体験していただくもので、訓練内容は身近にあるもので作る応急担架の作成、負傷者への応急手当の実施要領、避難所で使用する簡易ベッドや簡易トイレの設置要領の取得、炊き出し訓練、過去に発生した地震の揺れを体験できる車両を使った地震対応訓練など、より実践的な内容となっている。これらの取組みは、地域の実情や要望に応じて柔軟に対応できるものであることから、今後も様々な訓練を通じて住民の防災意識の醸成を図り、地域防災力の向上に努めて行きたい。

再質問
長崎サンセットマリーナは、県の所管施設であり、海の駅としての防災拠点として活用する市の見解は?
回 答
防災拠点としての活用は、現在、施設管理を受託している事業者から、海路による物資輸送拠点としての活用のご提案を頂いているところであり、具体的にどのような機能や役割を担うことが可能か、調整を進めている。サンセットマリーナを海の防災拠点として機能させるためには、備蓄品を充実しておくことが必要であり、現在は市・サンセットマリーナ・地域の3者でそれぞれ備蓄品を配備している。施設を所管する県に対して、今後、海の駅を活用した防災拠点の考えについて情報を共有するとともに、県との連携策について協議していきたい。本市としては、地域防災力の向上に向けて、県、市、事業者及び地域との連携を図りながら、サンセットマリーナの防災拠点としての活用を引き続き検討していく。

3.海運・水産業の支援について

(1)船員における個人住民税の減免

質 問

長期外航勤務に従事する船員の個人住民税の減免について、他都市の調査結果を踏まえての長崎市の見解は?

回 答

個人住民税は、市民税と県民税からなり、県や市が行う住民の皆様に対する行政サービスに必要な経費を住民の方々に負担していただくもので、均等に負担していただく「均等割」と前年の所得に応じて負担いただく「所得割」からなっている。船員に対する減免は、令和7年度から減免を実施した1自治体を加え、現在、全国8つの自治体の条例に基づき、年間を通じて6カ月を超える勤務に従事する船員等を対象に、個人住民税均等割額の2分の1を減免している。仮に長崎市の均等割額を2分の1減免した場合、市・県民税合わせて1人あたり2,300円が減免額となる。

なお、令和6年度中の7自治体への減免申請実績は、0件が2市町、1件ないし2件が3市、15件が1市、21件が1市となっている。個人住人税の減免の考え方は、納税者が生活に困窮している場合や、公益上減免の必要がある場合などに限られており、減免が必要である場合は税負担の公平性の観点から、減免を行うことが相当であると認められる程度の強い公益性公益性が求められている。

現時点では長期外航勤務に従事する船員等の減免措置は、難しい状況にあるが、今後とも国の動向や他の自治体の状況等を注視しながら、引き続き検討していく。

意見・要望
船員における個人住民税の減免は、全日本海員組合が、国土交通省に政策申し入れを行い、平成23年度第19回税制調査会において、対外船舶運航事業の用に供する船舶に乗り組む船員に係る課税の見直し(船員の住民税について)がされた。その後、平成26年4月1日より、三重県四日市市で長期外航勤務に従事する船員の個人住民税の減免が実施されています。長崎市においてもこの個人住民税の政策申し入れは、10年前から行ってきましたが、なかなか前進しない中で、本年2月議会で一般質問を行い、今回、進捗状況・検討状況を求めた。令和8年4月1日より実施される、長崎市の利用料・使用料の減免は庁内で決められる、要綱の見直しも現在行われている。条例の改正は、議会の議決を有するが、条例施行規則で制定する減免は庁内できめられるもの、その他市長が特に必要と認める部分は変更できる。要綱を見直せば対応できると思いますが、トップリーダーの政治決断を求めた。

(2)船員の確保・人材育成

質 問

水産業の担い手となる船員確保・人材育成、沿岸漁業に対する支援は?

回 答

長崎市の水産業は、東シナ海を中心に操業を行い、本市の水産業の約5割を占める大中型まき網や以西底引き網の沖合漁業と、刺し網や定置網、養殖等の沿岸漁業に大別される。沖合漁業では、厳しい労働環境や不便な生活環境等により、船員のなり手少ない深刻な状況であり、沿岸漁業においても不安定な漁獲量や収入のため就業者が減少している。このように沖合漁業、沿岸漁業ともに、就業者の確保が大きな課題であることから、課題解決のため現在の就業者を確保する取組みと、将来的な就業者の確保を目指す中長期的な取組みを行っている。

現在の就業者確保は、福岡市で開催される「漁業就労者フェア」」に本年から出展し、本市の水産業の状況や支援制度等について説明、相談を実施した。漁業就業を希望する方には、研修期間中の生活費や資材費等の支援のほか、着業後の経営が不安定な時期の燃料費等の支援を行い、平成15年以降28名が研修制度を活用し、21名の方が着業している。

中長期的な取組みは、水産センターにおいて栽培漁業等に関する学習機会を提供し、子どもたちが実際に海や水産物に触れ、漁業の現場を知ることで、水産業への理解と関心を深める事が出来る取組みを進めている。また、今年度から市内小学5年生を対象に、身近な漁業への理解を深めるため、まき網事業者と連携し事前学習をしたうえで、まき網漁船への乗船を体験いただく取組みを開始し、小学校4校の約200名の児童が体験した。

4.公共施設マネジメントの推進について

(1)地区別計画の進捗状況

質 問

地区別計画の後期である2023年度から2029年度までに見直す、70施設の検討状況は?

回 答

長崎市では、次世代に大きな負担を残すことなく継承できる持続可能な公共施設へと見直すために、公共施設マネジメントの実施計画である地区別計画を策定し、公共施設の複合化や集約化、民間委譲を進めている。マネジメントの進捗は、「廃止や一部廃止」の方向性である32施設のうち、野母崎農村活性化センターを令和7年度末で廃止する。「移転、集約、建替え」の方向性である22施設のうち、近海地域センター長浦事務所は移転集約した事により、見直しを要する残りの施設は52施設となる。

52施設のうち、令和8年1月に近隣の公共施設と複合化する手熊地区ふれあいセンターや、学校給食センターの整備に合わせて集約する、学校給食共同調理場などを除く36施設についてヒヤリングを実施した。具体的には、施設所管部局において、見直しに至るまでのタイムテーブルを作成し、確実に地域との協議を行う。

重点的に進めていく必要がある市営住宅と公園については、個別にヒヤリングを実施、マネジメント推進会議で報告、早急に公共施設の見直しに係る取り組みを進めることや、2029年度を待たず前倒しで移転集約や廃止を進めることをなど、各部局の共通認識いたところであり、今後も全庁一丸となって、公共施設マネジメントの推進に取り組んでいく。

(2)学校施設(プール)の検討状況

質 問

学校施設のプールの統廃合や利活用の検討状況は?

回 答

長崎市の学校施設は、その半数以上が築40年以上経過しており、全体的な老朽化が著しい状況にある。限られた財源を効果的に活用して維持管理を行って行くため、校舎等の改築や大規模改造といった優先度の高い改修を中心に進めている。プールの解体計画は、検討を行ったが、その解体費用は1箇所あたり概算で2,500万円から3,000万円となっている。現在、プールを使用していない学校35校の合計では8億7,500万円から10億5,000万程度が必要であると見込まれる。一方で、プール単独の解体は、国庫補助の対象外となるため、全額一般財源で対応せざるを得ない。

また、令和5年度には、民間スポーツ施設の閉館により、やむを得ず学校プールを使用した授業に戻ることになったという事例も生じたことから、プールの解体等については、将来的な水泳授業の実施方法、民間施設の活用可能性等を総合的に勘案し、慎重に検討していく必要があり、具体的な解体計画の策定に至っていないのが現状である。

今後、教育環境の充実と公共施設マネジメントの観点も踏まえ、中長期的な計画に基づき進めている学校の改修等に、プールの解体を盛り込むなどの手法を検討するとともに、統廃合計画の進捗や消防水利としての活用も視野に入れながら、施設ごとの方向性について個別に検討を行って行く。

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▼委員会報告

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