令和5年6月議会 一般質問(要旨)

1.公共施設マネジメントの取組み状況!

質 問

マネジメントのこれまでの取組み状況、課題の認識、進捗状況及びコスト削減の状況はどうなっているのか?

回 答

平成29年から始めた地域との対話を通じて策定する公共施設マネジメント地区別計画は、令和4年度で策定を終え、令和5年度からは全ての地区で実行段階に移っている。学校・市営住宅を除き、2022年度までに見直しを行うことにしていた63施設のうち48施設について、公共施設の配置の見直し、複合化及び廃止を行っている。

マネジメントの課題は、長崎市の公共施設全体の約3分の2を占めている市営住宅と学校施設の適正な配置が重要であると考えている。市営住宅は、計画的な管理戸数の削減に努め、学校施設は子どもたちの教育環境の改善を整備の最優先としながら、適正配置を進めていくことにしている。

維持管理コスト削減の状況は、施設の更新や改修費用として2015年から2022年までの削減効果を183億円と試算していたが、今後はさらに551億円の削減が必要と推計している。公共施設を適正に維持管理しながら、公共施設の総量抑制の観点から取り組みを推進するとともに、PFIなどの公民連携手法により施設整備費用の削減を図るなど、削減目標である551億円の解消に向け、多方面から取り組みを進めていきたい。

再質問

マネジメントの今後の取組及び市有財産の利活用の状況は?

回答

市民との対話を経て策定した地区別計画で、学校・住宅を除いた504施設のうち、175施設を見直すことにしている。そのうち、今年度から2029年度までに見直すこととしている施設は70施設であり、今後はこれらの施設の複合化・集約化を進める。

市有財産の売却の状況は、令和元年度から令和4年度までの実績は企業立地用地や事業の代替地などを含め125件、面積が約7万6千平方メートル、金額が約23億6,000万円となっている。このうち、政策目的として活用のない市有財産の売却実績の主なものは、令和元年度に上銭座町の旧歴史民俗資料館跡地を約7,800万円、令和2年度は東京事務所の所長宿舎を約1億3,000万円で売却した。令和3年度は、旧ヴィラオリンピカ伊王島を、サウンディング手法により約3,300万円で売却、令和4年度は旧小榊小学校跡地を約2億8,000万円で売却している、今後も民間事業所との官民連携手法を取り入れ、自社財源の確保に努める。

意見・要望

地区計画毎のロードマップは、前期(2022年まで)、後期(2023年から2029年まで)、次期計画(2030年以降)の計画となっている。2023年度から2029年度の4年間で見直す施設は70施設であり、今後は、これらの施設の複合化・集約が進められる。2023年度から実行に移す(削減)もの、2024年度に対応するもの中に、「民間委譲を検討する」「適正管理を行い、2023年度までに、さらなる活用のための使い方を検討する」施設もあるが、結論が出ていない施設もあるので、再確認し結論を出すべき。担当部局長のPDCAサイクルの継続的な業務管理や、リーダーシップを強く求める。

 

2.小中学校の適正配置の進捗状況!

質問

現在の学校規模の適正化と適正配置の進捗状況と今後の見通し、併せて学校施設の保全は?

回答

地区ごとに実施計画を(案)を作成し、複式学級を有する過小規模校や老朽化の進んでいる小規模校を優先して取り組んでいる。平成29年以降、尾戸小、川平小の2つの小学校と式見中、江平中、南中の3つの中学校について、それぞれ隣接校との統合を決定している。少子化が更に加速していく中、子どもたちの教育環境の改善や向上については、確実な取り組みを進めて行かなければならない重要な課題であると認識している。

今年度は、小規模化し複式学級を有する手熊小の桜が丘小への統合、小規模化と学校施設の老朽化が進む、桜馬場中、片淵中、長崎中の3つの中学校の統合を中心に、保護者及び地域の皆さまとの協議を進めている。今後も引き続き、保護者や地域の皆様のご意見を十分に伺いながら学校規模の適正化と適正配置に取り組んでいる。

学校施設の保全は、老朽化の著しい校舎等については一斉に建替えや大規模改修の時期を迎え、多大な財政負担を強いられることになるため、令和3年3月に「長崎市学校施設長寿命化計画」を策定している。この計画の中で、学校施設の更新は従来の建替えのみならず、学校の状況に応じて、施設の機能回復に加えコンクリートの中性化対策など構造体の劣化防止を図る。改修は事後保全から予防保全への転換を図ることで施設の長寿命化を推進し、効率的な施設整備に努める。

再質問

小中学校でのプール活用、授業及び民間委託を含めた今後のプール施設の方向性は?

回答

小中併設校を1校とした場合、現在の小中学校会せて98校ある。このうちプール施設のある学校が87校、無い学校が7校となっている。老朽化が著しく長年プールを使用していない学校が4校ある。プールの無い、老朽化で等で使用できない学校は、近隣の学校プールや市営のプールを使用している。

令和3年度から令和4年度にかけて、新たに一部の学校において民間プールを活用した授業をモデル的に実施したところ、児童生徒の泳力向上や教職員の負担軽減につながるなど、おおむね良好な結果が得られ、今年度から小中学校合わせて32校で本格的に実施している。

今後のプールの方向性は、多くの学校で更新時期を迎えており、多額の更新費用が見込まれることから、少しでも多く民間プールを活用したい。一方で、受入施設の収容規模に限界があり、全てを受入られない状況にあることや民間プール等が何らかの事情で使用できなくなった場合のリスクを考慮し、一定の学校は自校にプールを施設を残していく予定としている。

意見・要望

小中併設校を1校とした場合、現在の小中学校は合わせて98校、プール施設がある学校が87校、老朽化で使用されていない学校が4校、令和3年度から民間プールの活用で休止している学校は32校との答弁があった。使用していない4校のプール、休止している32校のプールを解体するのか?利活用するプールの見極めも必要と思う。今後、多額の経費が見込まれるとのことであり、学校施設も長崎市の財産(公共施設)であり、前広な解体計画含めての具体的検討を要請する。

 

3.中央卸売市場の現状の課題!

質問
長崎市中央卸売市場の仲卸業者・関連事業者は、開設時より概ね半減しているが、その要因とその対応や取扱高・入荷量の状況、現状の課題、将来のあるべき姿は?
回答

大幅に減った要因は、大手スーパーや郊外の大型商業施設の増加による市民の購買行動の変化により、近くの商店街や市場での買い物が減り、売買参加者であるまちの八百屋やくだもの屋が淘汰され、開設時から約7割減少した。仲卸業者も、取引先の減少による影響も大きく、近年では後継者不在に伴う廃業などもあり、徐々に減少している。

取扱高・入荷量の状況は、流通の多様化が進み、産地直送などの市場外流通が増加したことや、本市の人口減少に伴う消費量の減などにより、令和4年度取扱高が6万2,752㌧と、ピーク時の約6割となっている。本市場の役割は、市民に適正な価格で安定的に安全安心な青果物を届けることであり、卸売売業者が全国の生産者から青果物を取り寄せ、市民に届けている。

将来のあるべき姿は、令和2年6月に改正卸売市場法が施行されたことで、これまで原則禁止であった仲卸業者の産地からの直接買い付けや、卸売業者の長崎市場以外への販売が可能になるなど、市場取引の自由度が高まった。来年度予定されている卸売市場法の見直しにより、取引にどのような影響があるのかなどを見極め、他都市の状況や市場関係者のご意見を賜りながら、引き続き青果物の安定供給の目的を果たせるよう、再整備に向けて検討に着手する。

意見・要望

公共施設マネジメントにおける中央卸売市場は、目標使用年数は65年とされている。施設長期保全計画を策定されているものの、主要設備の更新周期を踏まえ定期点検、安全確認など、建て替え時期の判断、民間委譲の検討も必要と思う。建て替えの場合は、事前の調査、基本構想、基本設計など相当な年月を要するものであり、目標使用年数にこだわらず、具現化できる計画の検討に着手すべきこと要望する。

 

4.訪日客の動向と交流人口拡大!

質問

コロナ前とコロナ後のクルーズ船を含めた訪日客の動向、クルーズ船の受け入れ態勢、インバウンドについて経済波及効果を促す市の観光振興策は?

回答

長崎市の外国人観光客数は、「モバイル空間統計」によると、コロナ前の令和元年の257,870人から、コロナ禍の令和3年には1,567人まで落ち込んでいたが、令和4年10月11日に個人旅行の入国が緩和されてから、急速に回復に転じている。令和5年1月から3月の直近のデーターでは、長崎市の外国人観光客数は44,000人で、令和元年の同期間と比較すると、約7割まで回復、クルーズ船の動向は欧米系のクルーズ船を中心に、年内118隻が入港予定、令和元年の183隻と比較して6割強まで回復している。

クルーズ船の受け入れ態勢、は、新たな感染症まん延等の有事に備えるため、国、県、市、大学などで「長崎港クルーズ船受入に関する情報共有連絡会」を構成し、円滑な情報共有と協力できる体制を整えている。インバウンドの経済波及効果を促す観光振興策は、民間事業者と連携し、多言語化に対応した体験コンテンツや周遊ツアーを増やして行くほか、飲食店の多言語化、ベジタリンやビーガン、ムスリム対応など食の多様性への強化を図ることにより、国籍や宗教に関わらず誰もが快適に滞在し、満足度を高めることで、旅行消費額の拡大に繋げて行く。

 

5.観光資源の磨き上げ!

質問

市長は施政方針で、多種多様な魅力を十分に磨き上げきれてない、活かしきれていないと述べている。資源磨きは、これまでハード面は行政、ソフト面はDMOと民間など、役割分担をしながら、積み上げてきたが、市長はどういう視点・方向性を持って取り組んでいくのか?

回答

選挙公約「新長崎ビジョン」の柱の一つめに、「交流拡大と産業振興で、力強い経済の再生」を揚げた。経済再生のうち、特に即効性が高い分野である交流拡大は、新たなまちの基盤が生まれつつあること、インバウンドをはじめ交流の拡大が見込まれる好機を捉え、長崎の歴史、文化、自然、食、人などの魅力を掛け合わせることで、より活性化するものと考える。

5月31日「長崎の歴史を生かした夜景まちづくり」が都市景観大賞「夜景まちづくり活動・教育部門」で、国土交通大臣賞を受賞した。このように、官が行うハード整備だけでなく、民間事業者や市民も含めオール長崎で取り組むことが、唯一無二の魅力になる。DMOの体制も整い、インバウンドの回復に向けて、「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」や「観光再始動事業」など、資源磨きを支援する国の制度を十分活用しながら取り組みを進める。

再質問

長崎スタジアムシティが来年秋に開業するが、官民連携した観光振興策、長崎駅からスタジアム周辺の賑わい創出、浦上川沿いの夜景景観の充実は?

回答

長崎スタジアムシティは、サッカースタジアム、アリーナ、オフィス棟、ホテル棟、商業施設があり、試合が開催さている日は、県外からも多くの方が訪問される。試合がないときも、スタジアムのピッチの活用や、アリーナでの音楽イベントなど様々なエンターティメントの活用が期待される。出島メッセ長崎と連携することで、相互の施設の特性や強みを活かし、機能を補完しあうことで大型MICEや企業のインセンティブツアーなど誘致、開催することができ、賑わいの創出につながる。

夜間景観の整備として、スタジアムシティの夜間照明は環長崎港夜間景観向上基本計画に基づく配慮をして頂くように協議を行っている。イベント時や照明上困難な場所等を除き、オレンジ色に近いあたたかみのある光で統一感を持たせるなど、稲佐山からの見え方も十分検討される。

意見・要望
観光資源を更に磨き上げるためには、歴史、文化、自然、食、人の魅力を掛け合わせるとの考えが示された。国土交通省で観光分野に携わった経験や人脈を活かす、これが鈴木市長の財産であり、強みである。これまで長崎市の観光振興は、2つの世界遺産である「明治日本の産業革命遺産」及び「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」、「世界新三大夜景」を生かした夜間景観のさらなる魅力向上、官民協働のイルミネーションの推進、多種多様な魅力の磨き上げなど、鈴木市長のトップセールスによる交流人口の拡大を図ってほしい。

6.地域コミュニティ連絡協議会の取組み!

質問

地域コミュニティ連絡協議会の取組みと今後の支援は?

回答

人口減少や少子化・高齢化など社会状況が変化している中、長崎市では将来においても住民が、暮らしやすいまちでありつづけるために、様々な地域課題に対応できるしくみとして、コミュニティ連絡協議会の設立を進めている。コミュニティ連絡協議会は、概ね小学校区で設立を進めており、市内67小学校区のうち統廃合前の旧小学校の範囲で設立地区もあることから、約80地区の設立を想定し、約10年間で全地区において設立できるよう支援している。制度の本格実施から今年で5年目を迎え、現在、協議会が36地区、設立準備委員会が14地区設立されており、約6割の地区に取り組みが広がっている。

 

7.一般国道202号の整備状況!

質問

大浜町から福田本町間の整備状況、事業費ベースの進捗率、用地取得率、その後の計画は?

回答

国道202号の福田地区は、歩道幅員が狭小な区間や大型車の離合がしにくい区間など残されており、これまでも交通環境の改善に向けて、地域のご協力を得ながら道路管理者である長崎県より、大迫バス停付近やフレスポ福田ウエスト前などで歩道やバスベイの整備が行われてきている。現在、小浦船津公園前交差点から福田本町バス停付近までの福田本町工区において、歩道やバスベイの整備に取り組まれており、令和4年度には道路拡幅に必要な公有水面の手続きを完了し、今年度から小浦町と福田本町の2箇所において護岸工事を行うこととしている。

また、令和2年度から大浦橋から中浦バス停付近までの小浦工区における歩道等整備も事業化されており、現在、調査、設計に取り組まれている。(仮称)福田バイパスは、「福田地区を通過する交通量が少ないため、費用対効果の面から整備は長期的な課題である」との認識が長崎県から示されている。

このような中、長崎市は、市や市議会、地元関係者などで構成する「一般国道202号(福田バイパス)道路整備促進協議会」を中心に、地元の「福田バイパス建設促進期成会」とも連携しながら、現道である「国道202号の整備推進」と「(仮称)福田バイパスの早期事業化」に向けて、県や国などの関係機関に対し、要望活動を実施している。

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▼委員会報告

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