令和6年9月議会 一般質問(要旨)

1.公共施設マネジメントについて

(1)公共施設マネジメントの取組状況

質 問

公共施設のマネジメントの取組状況は?

回 答

平成27年コストシュミレーションにおいて平成27年度から30年間で公共施設の建替え、改修等に係る費用は約879億円が不足し、床面積に換算すると約25%の削減が必要と試算された。平成27年度から令和5年度までに床面積は5.3%を削減し、その効果額は約200億円となっている。令和3年度に改めてコストシュミレーションを見直したところ、それでも約551億円が不足する結果となったことから、公共施設マネジメントの積極的な推進、公共施設の複合化や集約化、民間移譲を進める必要がある。マネジメントの積極的な推進では、市長・各部局長で構成する推進会議において進捗状況を確認するとしている。

再質問

地区別計画における福田地区公民館・福田地域センターの建替え検討状況は?

回答

建築後54年が経過しているため移転、建替えを検討しているが、議員指摘のとおり土砂災害特別警戒区域に位置していることから、早急な対応が必要である。しかしながら、地区内には適した市有地がないことから、今まで整備に係る手法、場所、必要な費用、面積など具体的な検討は進んでいない。現時点では、移転、建替えの比較検討を行うために、来庁者の交通手段、地区内の人口分布、民間の賃貸事業者への聞き取りなど基礎となる情報のとりまとめを行っており、取り纏め後は早急な検討に入る。

(2)市営住宅の具体的取組

質問

市営住宅の具体的取組について、市営住宅の集約事業、住戸改善事業、建替え事業の進捗状況は?

回答

集約事業及び住戸改善事業は、耐震性能はあるものの給湯設備等がついていない、築30年から39年の住宅を対象に、今後30年以上継続して使用するため、浴室や洗面所、台所の3点給湯を整備するなど改善を行い、2,662戸から約7割の約1,900戸に集約する。建替え事業は、築40年以上経過した住宅を対象に、団地の建替えに併せて住戸数を4,071戸から約1,800戸に縮減する。現在、日見大曲・宿町住宅で578戸を約290戸へ、三原住宅の90戸を49戸へと縮減する建替え事業に着手している。これらの取組みにより、市営住宅の管理戸数を2018年度の9,314戸から2040年に約6,200戸に縮減する計画としている。

2.観光振興について

(1)観光振興の動向

質問
観光振興の動向におけるコロナ前、コロナ禍を経てこれまでの主な施策の取組みとこれからの施策は?
回答

長崎市の観光動向は、令和5年の観光統計において訪問客数は前年比31.4%増の約532万人、観光消費額は前年比36.3%増の約1,435億円、訪問客の満足度は95.4%、再来訪意向は94.2%と前年度と同程度の高い数値を維持している。一方、令和元年と比較すると訪問客数は23.1%減、観光消費額は3.1%減であり、順調な回復傾向が見られるものの、未だ回復の途上にある。さらに、クルーズ船の寄港状況は、令和5年3月に再開され96隻が寄港しましたが、令和元年の183隻からは87隻の減となっている。コロナ禍前からの動向は、個人旅行への人気が高まり、観光を取り巻く環境が大きく変化した。

また、訪問客のニーズが今まで以上に多様化するなど、満足度の向上が求められている。このようなことから、令和2年度に策定した「長崎市観光MICE戦略」においては、重要な視点として旅行消費額の拡大、観光需要の平準化、広域連携、環境変化への柔軟な対応を推進することとし事業を進めてきた。今後は、重点プロジェクトである「経済再生」プロジェクトにおいて「交流拡大」を重点テーマに、観光案内機能の整備やインバウンド受入環境整備の高度化などの「受入態勢の充実」や、付加価値の高いコンテンツの造成など「高付加価値化による消費単価の向上」、広域連携の推進と情報発信の効率化などの「戦略的なプロモーション」の取組みを進めていく。このような取組みを通じて、観光消費額、MICE消費額の向上、訪問者、事業者、市民のそれぞれ満足度の向上に努める。

(2)長崎スタジアムシティを軸とした観光振興

質問

長崎スタジアムシティを軸とした観光振興、出島メッセ長崎と連携した交流人口の拡大に向けた取組みは?

回答

長崎スタジアムシティの開業に伴い、プロスポーツのみならず、アリーナでは大型イベントイベント等も開催されることから、市外から多くの方が長崎を訪れることが期待される。経済波及効果を高めるには、この機を逃さず、来訪者に市内各所へ足を延ばしていただき、滞在時間や消費拡大に繋げて行くことが重要である。この回遊策は、銅座・思案橋エリアや浜口・浦上エリアにおけるスポーツファン向けの飲食イベントの支援など、まちなかへの周遊促進を図る取組みを進める。

これらの情報は、長崎の歴史、文化、食、体験コンテンツなどの観光情報と合わせて旅マエの段階から訴求していくことが重要であるため、市の公式サイトやSNSのほか、ゼンリンのアプリ「ストローカル」と連携するなど、様々な媒体で広く周知を行う。出島メッセ長崎との連携は、これまでパブリックビューイングを共同開催するなど、イベント連携を図っており、MICE誘致についても今年2月に東京で開催された「国際MICEエキスポ2024」で共同セールスを行っている。昨年度の出島メッセ長崎の利用実績は約66万人で、経済波及効果は約136億円となり、目標とする61万人及び114億円をそれぞれ達成しているが、相互の施設の特性や強みを活かし、機能を補完し合うことで、大型MICEの誘致につなげ、さらに交流人口の拡大を図る。

(3)宿泊税の活用状況

質問

宿泊税の活用状況は?

回答

宿泊税は、「選ばれる21世紀の交流都市」を目指すため、都市の魅力を高め、国内外の人々の来訪及び交流を促進するとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に活用することを目的として、令和5年4月1日から導入した。令和5年度宿泊税の納入額は2億9,717万1千円の決算見込みとなっている。宿泊税の活用は、「訪問客への還元」を基本方針とし、その活用方法として優先順位の高いものから①訪問客へのサービス向上・消費拡大、②訪問客への情報提供、③観光施設などの受入環境整備、④資源磨き、⑤緊急時の対応等として新たに創設した観光交流基金に積立てることとしている。

活用の主なものは、サステナブルツーリズムの提供や体験商品・長崎グルメ情報の提供など、「サービス向上・消費拡大」に約6,160万円を、観光ワンストップサイト「travel nagasaki」における情報発信やデジタル広告等による訴求プロモーションなどの「情報提供」に約1億2,864万を、総合観光案内所の運営など「受入環境整備」に約4,000万円を、観光交流基金への積立金として5,000万円などに活用している。今後とも、DMOと連携し、マーケティングや訪問者へのアンケート、宿泊事業者などの観光関係団体の意見を伺いながら訪問客の満足度を高め、再来訪を促す効果的な事業についての動向、クルーズ船の現状認識及びクルーズ船誘致のアクション、長崎スタジアムシティを軸とした観光振興、宿泊税の活用状況など、訪問客がさらに増加するという好循環をつくっていく。

3.長崎サミットについて

(1)これまでのサミットの成果

質問

これまでのサミットの成果は?

回答

長崎サミットは、人口減少への危機感から、経済界の呼びかけで、県・市・大学・経済界の7団体の代表が一堂に会し、地域経済の活性化について議論したのが始まりである。令和2年11月の第22回長崎サミットでは、長崎をオープンイノベーションの拠点に、という宣言を行った。その後、市内金融機関による拠点施設の開設や、県市及び金融機関等が組織横断的に連携する支援チームの設置、種類が豊富な長崎の魚を届ける「おさかなサブスク」など、地場企業と県外企業が協力する複数のプロジェクトが始まっている。平成23年には、長崎市長を国王とした「長崎かんぼこ王国」が設立され、市内の蒲鉾製造業者をはじめ産学官の連携により、長崎の水産練り製品の消費と販路の拡大に繋がった。

(2)カーボンニュートラルの推進

質問

カーボンニュートラルの推進は?

回答

7月29日開かれた第27回長崎サミットでは、長崎港におけるカーボンニュートラル推進のテーマで議論がなされた。サミットを構成する7団体は、産学官が連携して「長崎ベイアリアを中心とするサステナブルな国際観光都市の形成」と「技術の地産地消による長崎の特徴を活かした海洋関連産業育成及びエネルギーの地産地消」を目指すこととし、「実現可能な取組みから先行的に実施する」など、今後の取組み方針について合意した。港湾の脱炭素化に向けた取組みは、港湾脱炭素化推進計画の作成と実施等について県内の関係者が協議するため、令和5年8月から長崎県が事務局となり、「長崎港港湾脱炭素化推進協議会」が設置され、長崎市も行政機関として参加している。

4.屋外広告物条例への対応について

質問

屋外広告物の調査概要や件数、許可申請数など屋外広告物への対応は?

回答

平成9年に施行した長崎市屋外広告物条例では、屋外広告物の定義や許可が必要となる規模、許可が出来る地域の区分、一つの敷地内に表示出来る総面積や文字の大きさ、色彩、安全上必要な項目などの基準を定めており、現在の許可件数は約1,300件となっている。本条例については、パンフレットを市の窓口や関係団体に配布し、ホームページや広報ながさき、SNSなどの媒体を活用して周知に努めている。屋外広告物の実態把握は、平成25年度に未申請者の把握や表示状況の実態などの基礎資料の整理を目的に市内210㎞の道路沿線で調査を行った。

その結果、屋外広告物の許可を要する物件は全体で約3,500件あり、その内、未申請となっている物件が約5割、1,600件に上がることが判明した。その後、制度の周知や指導、自主的な撤去などによって、当時未申請であった物件は約660件まで減少したが、調査後に増加した未申請物件は把握できていない。そのため、今年度改めて屋外広告物の現状を把握することを目的に、先ず、神ノ島工業団地を含む工業地域内の調査に着手し、そこで把握した一部条例に反するものについて、指導を実施した。しかしながら、事前の周知が十分に行き届いていない状況の中で、神ノ島工業団地において、突然、市から指導を受けたことで、事業者の方が戸惑いを感じられた。今後は、より丁寧な対応を心掛けることで制度への理解を深めていただき、良好な景観の形成や公衆への安全保全に繋げて行きたい。

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▼委員会報告

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