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議会報告

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平成30年3月

平成30年2月議会 一般質問(要旨)

1.長崎市版DMOについて

(1)これまでの取り組みと今後の方向性

質 問

観光庁には設立予定を含め174件(平成29年11月28日現在)登録されているが、長崎市が目指す長崎市版のDMOのこれまでの取り組みと今後の方向性は?

回 答

日本版DMOは、「多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、その戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人」のことで、日本版DMOの形成・確立は、旅行目的の多様化や、外国人観光客の増加等により大きく変化している旅行者マーケットに柔軟かつ的確に対応し、交流の産業化を進めるための重要な取り組みである。長崎市においても、時代の変化に対応するために、これまで行ってきた様々な取り組みを定着させ、持続的に行う体制づくりが必要であり、平成28年4月に長崎国際観光コンベンション協会が日本版DMOの候補法人に登録された。

平成28年度の取り組みは、7月にコンベンション協会内にDMO推進本部を立ち上げ、外国人観光客を長崎市に誘致するためのインバウンド戦略を策定した。平成29年度は、データーの情報分析を行いながら、外国人観光客のニーズに適応した旅行商品の構築に取り組むとともに、観光情報等を一元的に発信するため観光関連のホームページを集約し、ワンストップサイトを構築した。さる2月12日には、事業者や市民の参加のもと「長崎市版DMOキックオフフォーラム」を開催し、長崎市版DMOの形成・確立に向けた本格的なスタートを切った。

なお、現在の数値目標は、平成32年の旅行者数710万人、旅行消費額1,600億円などの数値目標を定め事業を推進している。今後の方向性は、コンベンション協会では行っていなかったデーターに基づくマーケッティングや、観光地経営といったマネジメント機能を、長崎市版DMOが備えることが重要と考えている。平成30年度は、長崎市版DMOの形成・確立に必要な体制構築に向けた協議を進めて行く。

意 見
要 望

財源や人材を確保することは、喫緊の課題であるとの見解は一致していると思いますが、財源の確保をどうするのか?例えば、コンベンション協会の会員数464件(平成29年3月31日現在)を増やして会費増額を図るのか?コンベンション協会への補助金を見直すのか?指定管理業務の拡大を図るのか?長崎のビッグイベントを委託するのか?事業収益をどのようにアップするのか?具体的な方策は示されていない。人材確保と育成をどうするのか?専門的なマネジメント人材とデーターに基づくマーケッティングを行う専門人材を必要と考え、この人材確保を平成30年度に検討するとの答弁があった。

長崎市は、平成28年4月に日本版DMOの候補法人に登録され、2年経過するなかでの財源確保や人材確保の取り組みは遅れていると思われる。全国他都市も同様の考えを持って、人材確保に取り組んでいると思われるので、プロの専門家を早急に人選して体制をつくってほしい。

 

(2)今後の運営方針

質 問

運営資金は事業収益・会費、長崎市の補助金・負担金等の収入で運営されているが、今後の運営方針は?

回 答

長崎市版DMOが、観光地経営に責任を持ち、安定的かつ持続的に事業を推進するためには、安定的な財源の確保及び専門人材の確保・育成などの経営基盤の強化が必要である。

長崎国際コンベンション協会の運営資金の状況は、平成28年度決算額が全体で約5億6,600万円であり、その主な内訳は、事業収益が約3億4,500万円、受託事業収益が約5,500万円、会費が約1,860万円、補助金が約1億3,200万円、その他収益などが約1,500万円となっている。

今後、長崎市版DMOが、自立した組織を目指すためには、コンベンション協会における収入増加策等の財源確保の取り組みや検討を進めるとともに、DMOの形成・確立に必要な体制や財源などの課題解決に向けて、長崎市とコンベンション協会で継続的に協議を行い、年次計画の策定を進めて行く。

意 見
要 望

先ず、先進都市の事例、他都市の状況を把握するとともに、役割分担の考え方も整理して、長崎市のDMOに活かす必要があり、外貨獲得のため観光客の誘客と消費拡大に向けての更なる努力をお願いする。 さる2月12日、長崎市と(一社)長崎国際コンベンション協会は、市民・事業者・関係者ら約150名が参加するなか、長崎市版DMO(観光地域づくり推進法人)の形成・確立に向けた「長崎市版DMOキックオフフォーラム~長崎市版DMOの形成に向けて~」を開催した。 来賓挨拶のなかで、九州運輸局観光部長代理は「長崎市版DMOは2020年訪日外国人旅行者数4,000万人を目指すもので、観光立国基本計画は、地方創生の一環として他地域のビジネスモデルになる」と述べられ、田上市長は「昭和の観光都市から21世紀の交流都市へと題し、団体旅行から個人・小グループへ、旅行代理店からインターネットへ、物見遊山・施設観光から体験・まちあるきなどに変化している」と、長崎らしいDMOのありかたについて説明を行った。

パネルディスカッションでは、観光関係者6人が登壇し、DMOの方向性と役割の説明を聞いて意見・感想が述べられ、「長崎が一体となったDMO活動に向けて」のテーマのもと、パネリストからは「出島を例に挙げ日本人にとっては素晴らしい観光地だが、中国人観光客は関心を持たず素通りしている。良い観光資源があったとしても、相手に合った売り込み方をしなければならない。

他都市と競争するために柔軟性のある組織が必要」、「観光を進めるうえではマーケットのニーズを分析し、ターゲットを決めてビジネスにつなげる必要がある」、「インバウンドの競争に勝ち残るためには顧客志向にあわせること」、「観光ビッグデーターを解析・分析し、集約したデーターを皆で共有する必要がある」との見解が示された。

私も正にその通リだと思いながら、観光業界関係者や市民向けの周知・アピールをもっとすべき、従来型の観光推進の取り組みから、新たな発想で取り組む必要性や、責任と権限の明確化。ロードマップにおける観光の取り組み(推進項目)を出来るものから、少しでも前倒しを行い、長崎らしいDMOの形成・確立を推進してほしいと要望する。

 

2.水産・海運業の振興について

(1)沿岸漁業の振興

質 問

沿岸漁業は、水産資源の減少など厳しい状況のなか、収益性を高め経営の安定化を図ることが、漁業を持続していくうえで重要な視点であるが長崎市の取り組みは?

回 答

近年の水産業を取り巻く環境は、水産資源の減少、漁業者の高齢化と担い手不足、食生活の変化に漁食離れなど大変厳しい状況にある。厳しい状況を克服するためには「水産業の収益性を高め、経営の安定化を図ること」が重要であると認識している。このため、平成27年度に策定した「第3次長崎市水産振興計画」では、各漁村地域が策定した「浜の活力再生プラン」の推進や収益性向上のための施設・機器類の整備などの「強い経営体づくり」、新規就業者やその受け入れ体制の整備などの「担い手の育成」などの各施策に取り組んでいる。

平成28年度は、漁協の枠を超え長崎市域を範囲とした「長崎市広域浜プラン」を漁業者とともに策定、競争力の強化のための取り組みを推進し、水産業・漁村の持続的な発展と地域の活性化を図っている。国は、プランに基づく施設の再編整備や中核的担い手の育成に、必要な漁船及び機器導入について支援し、長崎市はこれらの事業を積極的に活用し、中核的業業者に対する漁船や機器の導入等を推進している。

厳しい状況のなか、意欲ある漁業者が将来にわたり希望を持って漁業経営に取り組むことが出来るよう水産業の体質強化を図るため、漁業者とともに第3次水産振興計画、浜プラン、広域プランの取り組みを推進する。また、高齢漁業者と独立就業希望者をマッチングし、漁業技術、漁船漁具、漁業許可等の漁業資産が円滑に継承されるよう、次世代に繋ぐ漁業資産リレー事業(県新規事業)の概要が示された。

意 見
要 望

現在実施されている「漁業構造改革総合対策事業(もうかる漁業)」は、漁船員の定着率を向上させ、若年後継者が参入できる改革型改造船の建造を促進する重要な事業として継続できるように、また、安定的な海上輸送を維持するため、助成金の制度確立など抜本的な燃料油補助政策の確立や、軽油引取税の免税措置は2018年3月末まで、地球温暖化対策税の還付措置は2020年3月末までの時限的なものとなっていることから、これらの措置を恒久化して頂くように。

また、水産業は、私たちが生活する上で水産物を安定供給する使命と責務があり、水産業の主体をなす漁船漁業の維持・存続が必要不可欠である。しかし、漁船漁業で働く日本人漁船員の不足が顕著となり、漁船漁業の存続が危惧される状況となっている。このような状況を打開すべく、日本人漁船員を確保・養成するための「漁船乗組員確保養成プロジェクト」が産学労使で設立された。

同プロジェクトは、水産基本計画に定められた「新規就業者の確保・育成」「海技士等の人材の確保・育成」「水産教育の充実」など後継者確保・育成を支援するプロジェクトとして継続と拡充を国や県に働きかけるよう要望する。

質 問

海洋基本計画や平成29年6月に取りまとめられた内航未来創造プランなどに明記されている、船員後継者の確保・育成に向けた具体的な施策及び長崎市の取り組みは?

回 答

長崎市では、旅客運送や貨物・資材運搬など様々な内航海運が行われているが、特に高島・池島の離島地域は生活航路であるため、国庫補助航路として認定され、運航に係る欠損額を国、県、市からの補助金で補填し、航路の維持・存続に努めている。

なお、全国の内航船員数は昭和40年から平成27年の40年間で約7万1千人から約2万4千人以下に減少している。その年齢構成も50歳以上の割合が約5割を占め、30歳未満の割合が約2割と高齢化が進んでおり、船員の確保・育成は、今後の航路の維持・存続のためにも必要不可欠と認識している。

意 見
要 望

次世代を担う船員志望者のすその拡大に向け、若者が船員職業に関心を持つような海事広報や海事思想の普及に努めて頂くとともに、海に親しむ活動の推進については、次世代の産業の担い手となる船員志望者のすそ野拡大に向け、中長期的な視点からの取り組みが必要不可欠である。

小・中学校の教育段階において、海に親しむ体験活動(地域の伝統行事であるペーロンや、マリン体験など)を充実させるなど、次世代を担う子ども達に海や船の魅力を伝え、船員職業の認知度の向上につながる取り組みを推進して頂きたい。(長崎市では帆船まつりにおける見学・体験学習、海の日における啓蒙活動、事業者による体験学習の取り組みなど)

3.雇用確保と企業誘致について

(1)若年者の雇用確保に向けた成果と課題

質 問

若年者の県外流出に歯止めをかけるため様々な事業が実施されているが、その成果と課題及び来年度の取り組みは?

回 答

長崎市では、地元企業・定着を進めるため採用意欲はあるが、人材確保に苦慮している地元企業を紹介するテレビ番組「キラリーカンパニー」や、「UIJターン就職促進事業」などを実施し、県外の大学や関係機関を訪問し地元企業の情報や、県外開催の企業面談会に参加するための旅費や出展料の一部を補助する取り組みを進めて来た。平成29年3月の卒業生は、市内高校の卒業生の県内就職率が72.5%(うち市内79.7%)、同じく市内大学では45.4%(うち市内63.6%)となっている。市内事業所148社の新卒採用状況は、平成29年4月の新卒採用者数758人中、地元採用者が504人、UIJターンが254人となっており、徐々に取り組みの効果が出ている。

しかしながら、現在の若者の就職実態は、学生に人気の企業100社の多くが関東、愛知、関西に立地していること、さらに九州内の人気企業30社もその多くが福岡に立地していることから、全体としては学生の目が地元に向いていない状況にある。

一方で、大学や高校へのヒヤリング結果は、学生の地元企業の認知度が低いこと、地元企業は県外の企業に比べて採用活動に消極的で、情報発信が不十分であることなどから、採用意欲が高い企業を除き、地元企業の情報が学生に届いていないことが明らかになった。そこで新年度は、地元企業の情報発信力や採用力向上に向けた支援を行うとともに、企業情報を学生一人ひとりのもとへ届ける事業に取り組む。若年者が、「長崎で働き・住み・暮らす」ためには、生活の場を得る雇用が重要であり、業界団体と連携を図りながら若年者雇用対策に力を入れて行く。

意 見
要 望

市外・県外から長崎市へ就職する際、若者が考える就職する企業・働きたい企業は賃金が高く(所得がある)、働きやすい職場環境にあるのか?生活しやすい場所・地域(まち)であるのか?住みやすい環境にあるのか?物価はどうなのか?交通の利便性はどうなのか?駐車場はあるのか?両親や学校の先生などから話を聞いて、それぞれが総合的に判断し就職を決定し、その土地で生活をして行くと思う。生活するうえで必要なものは「衣食住」で、働いてその対価として給料を得ている。そこで、子育て支援策・定住人口対策において、市営住宅の入居基準見直し、家賃の減免など住宅確保の視点から、若年層が住める住宅を行政でサポートできる環境をつくる必要がある。

長崎市の企業に就職すれば、長崎市と企業が協定を結び、市営住宅・雇用促進住宅、あるいは民間APの借り上げ・県営住宅Mなど、安い家賃で生活できることを、アピールして長崎で働いてもらう特別対策を打つべきと思う。また、企業にも住宅の助成金を働きかけること、例えば、長崎市で出来ることは、新入社員としての研修(社会人としての心構え)、長崎の交通事情、長崎の魅力を発信するセミナーの開催、他都市で出来ない世界遺産についての見学など企業と連携して出来るように、長崎ならではの特別メニュー・特典づくりを検討すべき。

 

(1)県と連携した企業誘致

質 問

県営工業用地(神の島、小江、三重)について、立地の現状と県と連携した企業誘致の取り組みは?

回 答

企業誘致については、県や県産業振興財団とともに企業訪問や情報収集を行い、地方進出や事業拡大などの情報が得られれば、行政としての支援制度など具体的な資料を提示しながら誘致につながるよう働きかけを行っている。

神の島地区は、用地面積約47ヘクタールのうち分譲面積が約30ヘクタール(約63%)、小江地区は用地面積約22ヘクタールのうち分譲面積が20ヘクタール(約93%)、三重の沖平地区は用地面積約12ヘクタールのうち約9ヘクタール(約81%)となっている。

これらの工業用地は、臨海部に位置することから東日本大震災以降、津波リスクを懸念し敬遠傾向にあったが、三重の沖平地区に金属製品製造業と製鋼業の2社が時津町から移転立地し20名の雇用が発生した。

意 見
要 望

長崎市内の県営工業用地については、神の島地区工業団地の造成から36年経過するなかで、西部下水処理場・新西工場の先の方は、ほとんどが空き地状態のままで残っている。何十年も放置されたままの状態であり、多目的グランドでの土地の有効活用、あるいは土地の用途変更、坪単価の見直しなど早急な検討が必要である。また、クレインハーバー長崎ビル(出島ワーフオフィスビル)は、竣工後、1社のみしか入居出来ていません。長崎市も建設費は、約13億円を拠出し県や県産業振興団と連携を取って誘致活動を進めてきました。企業誘致活動における問題点・課題を早急に検証し、残り4フロアへの1日も早い入居に向けて取り組を進めてほしい。

民間の元船地区におけるオフィスビルの建設、新大工地区再開発事業でのオフィスビルの計画、このことは確かにオフィスビルのニーズはあるものと理解している。しかしながら、県や長崎市が資金を出した、クレインハーバー長崎ビルの誘致活動は、詰めの甘さがあったと指摘せざるを得ません。

この案件は、平成28年3月1日の環境経済委員会において、第42号議案「長崎市企業立地条例の一部を改正する条例」としてオフィスビルのニーズが高いとして提案されたが、唐突な提案、議会への説明不足などを理由に否決され、平成28年9月12日に環境経済委員会で可決されたものである。

 

4.外郭団体の運営について

質 問

平成24年11月に長崎市外郭団体等経営検討委員会から、長崎市と外郭団体に提言が行われた。提言から5年経過するなかで、長崎市が100%趣旨する団体(クリーン長崎、野母崎振興公社、長崎市地産地消振興公社、長崎ロープウェイ・水族館、勤労者サービスセンターなど)についての人的関与、財政支援のあり方、団体の抜本的改革等の対応状況、現状の取り組みや課題については?

回 答

提言後の取り組みは、まず、従前の(株)長崎衛生公社は組織・人員体制及び給与水準の適正化や下水道の普及による非効率地区の散在化に伴い発生するコストへの対応を検討することなどの提言を受けた。現在、同社は一般財団法人クリーンながさきに事業を引き継いで解散し、その後は経営状況が順調に推移している。
一般財団法人長崎市野母崎振興公社は、地元の雇用創出に貢献していることを理解しつつも、平成26年度までに自立できないのであれば廃止も検討するよう提言を受けていた。その後、近年の収支状況や地域活性化への貢献を踏まえ、長崎市が貸し付けた1億2,000万円を平成26年度に債権放棄し、現在は経営改善計画に基づき単年度の収支状況は黒字である。
一般財団法人長崎市地産地消振興公社は、農水産物直売所などを民営化にするよう提言を受けている。直売所運営の収入が、公社が行っている新規就農者の育成や農地の流動化などの事業の安定的な継続に寄与している側面もあり、直売所のあり方について検討している。この他の団体も、必要に応じて団体への随意契約の見直しや、指定管理者の選定を一部公募するなどの見直しを実施している。今後も各団体の経営の効率化・健全化を図るため必要な見直しを行っていく。

意 見
要 望

経営改善計画の策定、今後のあり方の検討、5年後(中・長期的)のビジョンについての検証・検討を要請する。改めて、常任委員会や一般質問に取り上げますので対応をお願いする。

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