平成20年6月議会
平成20年6月議会 一般質問(要旨)
(1)財政構造改革プランの数値目標に対する現状と見通しについて
質 問財政構造改革プランにおいて、経常収支比率は80%台後半、自主財源比率は45%以上、基金は100億円以上を数値目標に設定しているが、どのように認識しているのか?また、数値目標を達成する見通しは?
回 答財政構造の弾力性を判断する指標である「経済収支比率」は、平成18年度95.6%となっており、平成19年度も扶助費や公債費など義務的経費が増す一方で、地方交付税が大幅に削減されたことなどから、目標達成は非常に厳しい。自主財源の歳入総額に占める割合である「自主財源比率」は、平成18年度41.7%となっており、平成19年度は国から地方への財源移譲により、自主財源の大部分を占めている市税が増すことから、平成18年度より改善する見込みです。「基金残高」は、平成18年度は113億円となっているが、平成19年度は76億円程度となる見込みです。数値目標の達成は、厳しいものもありますが、プランの着実な推進を図り、「歳入に見合った歳出構造」となる財政体質に努力します。
意 見
数値目標に対する意識について
長崎市の財政指標について、財政構造の弾力性を判断する指標として一般的に使われる、経常収支比率は、18年度実績で95.6%と数値的には厳しく、財政は健全と言えない状況にあります。
職員一人ひとりが目標を設定したうえで職務にあたっていますが、数値目標に対する意識の薄さが感じられます。
企業においては、会社存続・雇用を守るために、それぞれが必死に頑張って、企業の生き残りを図っています。家庭においては、収入が減少した場合は、支出をどのようにして抑えるか、その家庭で論議され生活をしていく、食料、日用品、電気等節約をします。生活に影響しない贅沢な部分は、当然カットされます。
財政運営の健全化のためにも、市民への情報開示は、わかりやすい財政状況を示すことが必要です。また、市長・議会をはじめとする職員全員が危機意識と改革に意欲を持って取り組まなければならないと思います。
(2)市税等の増収対策について
質 問未利用地の売却、有価金属・古紙の売り払い、職員駐車場使用料等、新たな収入増対策が打たれているが、ホームページの広告掲載の拡大、郵送用封筒等への企業広告掲載、自動販売機設置に係る使用料基準の見直し等、現状の検討状況と市税徴収率の向上(未収金対策)、コンビニ収納の拡大など今後の取り組みは?
回 答市税徴収率は、平成15年度90.7%であったが、平成18年度92.5%に向上、平成19年度には92.8%となる見込みです。
コンビニ収納は、導入前の平成18年度と比較すれば納期限内納付が件数で7,229件、税額にすると約6,900万円増加し、一定の効果があった。
今後は、市税や保育料などについてもコンビニでの収納が出来ないか検討を進めています。市税等の未収金対策は、庁内に未収金対策強化会議を設置し、未収金の縮減対策の検討や効果的・効率的な徴収体制の在り方など検討しています。新たな収入増対策は約5億円を見込んでいます。
ホームページのリンク広告は、掲載数を10から15に増やし、物品売却は4月の機構改革に伴い整理された不要物品の売却を実施しました。郵送用封筒等への企業広告掲載及び自動販売機設置に係る使用料基準の見直しは、他都市の状況を調査して、早期に実施できるよう取り組んでいます。
さらに、ふるさと納税の寄付金収入、使用料・手数料の見直しなど取り組み、将来に向けた健全な財政運営を行うため、積極的な歳入確保に努めます。
(3)長崎市の行政運営について
質 問長崎市の人口規模とほぼ同規模の、金沢市約44万人・松山市約51万人と比較して、なぜ職員数が多いのか?なぜ人件費が高いのか?
回 答長崎市は、金沢・松山市と比較すると80億円から90億円近く多くなっています。
その要因は、職員数が多いこと、給与の水準が高いことの2点です。職員数は両市と比較して、部・課の組織数が多く、そのため管理職・職員数等が多くなっています。また、地理、地形や歴史、産業など都市の特性から長崎市は、原爆関係、ごみ収集、観光及び建設部門で職員を多く、配置するとともに民間委託等の違いが要因となっています。従って、組織のスリム化、業務の民間委託等の推進のほか、両市をはじめ中核市の職員配置数等を参考にしながら、職員数の削減を図ります。
給与水準は、職員一人当たりで比較すると、金沢市が約650万円、松山市が約620万円に対し、長崎市は約720万円と高くなっています。これは、職員の平均年齢、初任給短縮等の特別昇給制度を行っていることなど、長崎市の給与制度が国家公務員と異なることが大きな要因です。
今後とも、給与制度の抜本的な見直しを行い、人件費の削減に努めます。
再質問投資的経費は、類似都市に比較して少ないが、今後どのような方向にもっていくのか?
回答投資的経費の割合は、平成18年度決算で中核市平均14.7%に対し、長崎市は8.4%とかなり少ない状況となっています。
公共投資を行うことは、雇用確保や市内経済の活性化にも一定資するものであり、各種大型事業や学校等の耐震化などの課題もあり、収支構造改革を進め財源を確保し、真に必要な公共投資が着実に実施できるよう取り組みます。
再質問財政構造改革プランの数値目標のうち、達成が厳しいものもあるということだが、同プラン自体を見直す考えはないのか?また計画期間終了後は?
回 答同プランは5カ年計画のうちまだ2年しか経過しておらず、基本的な財政健全化策は大きく変わりません。同プランで掲げた歳入・歳出両面での方策を着実に実施することが重要であり、現時点での見直しは考えていません。
なお、計画期間終了後の平成23年度以降も、財政健全化に向けての取り組みは、当然継続していくべきものであり、平成22年度中に第3次財政構造改革プランを策定する考えです。
(4)財政健全化法の施行に伴う本市の対応について
質 問財政健全化法は、よりわかりやすい財政指標の設定とその公表の仕組みを設けるとともに、財政が破たんする前に、健全化の方策を検討・実行するという制度に改められました。
健全化の判断基準は、自主的な財政健全化が求められる「早期健全化基準」と国等の関与の下に確実な再生が求められる「財政再生基準」、及び公営企業ごとに企業の健全化が求められる「経営健全化基準」があります。
「早期健全化基準」では、「実質赤字比率は11.5%」「連結実質赤字比率は16.25%」「実質公債費比率は25%」「将来負担比率は350%」となっており、「経営健全化基準」 は、「資金不足率が20%」となっています。対象範囲は、一部事務組合と広域連合、土地開発公社に加えて、損失補償を行っている㈱長崎衛生公社、社団法人長崎県林業公社及び野母崎三和漁業組合が該当します。
本市の取り組みは、5月末の出納閉鎖を受けて、平成19年度決算で公表を義務付けられている財政指標の算定作業を行っています。今後、決算統計の作業を経て算定し、監査委員の審査を経て、議会に報告する予定です。
(1)促進計画に基づく市の対応及び民間に対する啓発について
質 問平成20年3月に「耐震改修促進計画」が策定されているが、民間の住宅などの建築物及び小・中学校を含めた市有建築物の耐震化率の現況、耐震化の方針は?併せて民間の耐震化を促進するための方策及び啓発の手法は?
回 答住宅や不特定多数が出入りする一定規模以上の特定建築物、市が所有する特定建築物の耐震化率の目標を、平成27年度までに90%とします。
建築物の耐震化率は、住宅で72%、特定建築物で70%、市所有の特定建築物で65%となっており、小・中学校をはじめとして保育所、幼稚園、合同庁舎などの耐震診断、耐震設計及び耐震改修を平成20年度から実施します。
木造住宅の耐震診断や耐震改修を実施する所有者への補助は、今後も市民の皆様への更なる周知を図りながら事業の促進に努めます。
民間に対する啓発は、「安全・安心住まいづくり支援事業」について、市民や関係業界への周知を図り、広報ながさきを含め様々な宣伝媒体を活用します。